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「喧嘩売られてるってどーいうことだよ!」
綱吉は声を荒げる。現在並盛中央病院、何者かに襲われた生徒達が運ばれている場所だ。
「並盛中のケンカの強さランキング通りに狙われてんだ、沈黙の掟があることを考えれば相手は…」
リボーンは何かに気づいていたようだ。綱吉は渡されたケンカランキングを見てハッとする。
「4位の草壁さんが襲われたってことは次は3位…獄寺君だー!!」
「いってこいオレは気になることを調べる」
綱吉は慌てて走り出した。獄寺にこのことを知らせるために。
残ったリボーンは携帯を取り出しボタンを押すが相手からは応答がない。
「優羽、雪兎…おまえらは何処にいるんだ」
呟いた声は誰にも聞かれることはなかった。
【in黒曜】
「骸さ〜ん。んでどうだったんれすかー?並中のボスの?スズメだっけ?アヒルだっけ?」
機能しなくなったボウリング場で並べられたピンを倒し見事ストライクを取った犬はご機嫌だった。倒れたピンはボロボロ、割れたビンは粉々に飛び散る。
『アヒルでもスズメでもないよ、雲雀だから』
扉の前で壁に背を預けふたりを見ているのは雪兎。先ほどから姿の見えない優羽を心配しているのかどことなくいつもの元気がない。
「ハズレでしたよ。歯をとるまで横になってもらってます」
骸は足を組み椅子に座っていた。
「っひゃ〜生きてんのかな〜?そいつ」
冗談まじりに笑う犬。その言葉を聞いた雪兎の顔が微かに歪むが気にすることではないと犬は高らかに笑い声をあげた。
生きていなかったら優羽がいなくなる、どこかで不安に思うが雪兎は兄がそれほど弱くはないとも知っていた。
雲雀は優羽に傷つけられた。
しかし優羽は雲雀が必要のはずだ。…雲雀といってもたまたま心の支えになっていただけであって、本来はきっかけがあれば誰でもいいはずなんだ。
雲雀ではなかったら骸だったのかもしれない、犬だったのかも、千種だったのかもしれない。
雪兎の中でドロドロとしたものが徐々にあふれ出す。
「おや千種は?」
「柿ピーは3位狩りにまいりました、そろそろ面倒くせーから加減できるかわかんねーって」
「その気持ちもわかります、なかなか当たりが出ませんから」
骸はすでに優羽のことは気にしていないようだ。信頼からくるものなのか、ただ彼が冷たいのかわからない。
『3位か…』
雪兎は静かにその場を後にした。
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