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暫く歩いたあと爆発音が響いた。
ボクは歩くのをやめて煙の上がる方向を見て唇の先を釣り上げる。優羽の言っていた彼らとは何者でもないヴァリアーだった。
塀を踏み台に近くの家の屋根へと登り身を潜めると道には綱吉達の姿を見つけることができた。

「みんなーっ!!」

綱吉は嬉しそうに手を振りながら獄寺達の元へと駆け寄る。
これはいったいどういうことなのだろうと当たりを見回せば倒れている男達が目に付く。先ほどの影はこいつらだろうと納得したが倒れているのは3人。影は4つ、ひとり足りない。

『…下っ端なんか使ってナメてんのかな』

欠伸をひとつ、伸びをして立ち上がろうとしたが何かが近づいてくる気配に動きを止めた。
綱吉達に気をとられていたとはいえ油断していた自分に舌打ちをする。

『ボクに何のよう?質問に答えないと問答無用で叩く』

「折角会いにきたのに酷くない?王子がわざわざ出向くなんてレアだよ」

後ろを振り向けば立っていたのはプリンス・ザ・リッパー、ベルフェゴール。頭に飾られたティアラが鈍く光を放つ。

『久しぶりなんだけど帰ってよ、ボクもう帰るから』

ボクは綱吉達をみたあと欠伸をまたひとつ。しかし態度が気に食わないのかベルはボクの隣にきて立ち上がったボクを無理やり座らせる。

「ホント素直じゃないねー?」

語尾にハートがつきそうな程にこやかな笑顔で顔にナイフを突きつけるベル。かなり楽しそうだ。

『何だよ、ボクのリングでも取りにきた?ボク狙われてるなんて人気者だなぁ』

ポケットに忍ばせてあったハーフボンゴレリングを見せびらかせばベルは驚いたように短く声を出し反応した。どうやらベルはボクがリングの守護者だと言うことを知らなかったらしい。

「ただ雪兎に会いたかっただけだし」

『そらどーも、でもマフィアって消えた方がよくない?』

突きつけられていたナイフをゆっくり手に取りベルを見上げれば苦笑しているベルの姿があった。それを見ていたボクは自嘲気味に笑みを浮かべたあとナイフを返した。

気がつけば綱吉達の目の前には選ばれた他の守護者候補達がいた。ただしベルを抜いた8人。

8人…?

『なぁベル、ふたり多くない?』

知っている情報ではベルを入れても7人。しかもベルを抜けば6人になるはずが8人いるのだ、ボクはわけがわからず首を傾げる。
するとベルは楽しそうにしゃがみこみボクの頭をなで始めた。

「ししし、もちろん例のリングの守護者だよ」

例のリング、つまりボクら兄弟が受け取ったリングだ。ふたりともフードつきの黒いコートで顔を確認することはできないがヴァリアーなのだ、少しは戦えるのだろう。

いつの間にかベルはそいつらの元にいた。いつの間にと声を出す前に溜め息が出る。だが情報をくれたことに変わりはない。

ヴァリアーの中で一際威圧感のある男が前に出てきた。確か名前はXANXUS。

『…愚かだなぁ、10代目にはなれやしないのにさ』

人を見下すように見ているけど一番愚かなのはボク自身。
そんなことわかっているのだけど、わざわざマフィアのボスになろうと考えるなんて信じられない。
自分自身を笑いながらも見物していれば現れたのは門外顧問、沢田家光。

(どうやら状況は更に悪化するかも知れない…)



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