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「この街に…ハーフボンゴレリングが?」
暗闇の中、どこかの建物の屋上でひとりの男が呟いた。左の手の中指にはハーフボンゴレリングがはまっている。後ろには3人の男達が膝をつき、男の言葉を待っていた。
「スクアーロが嘘をついてなければ間違いないね」
高いソプラノの声が響く。男の隣に立っていた謎の赤ん坊だ。表情はフードのようにも帽子のようにも見える布で隠れているため確認することはできない。
首にかけられたチェーンで繋がれているハーフボンゴレリングが鈍く光る。
「マーモン、念写を頼めるか?」
「非常事態だもの仕方ないね。つけにしといてあげるよレヴィ・ア・タン」
マーモンと呼ばれた赤ん坊はレヴィと呼んだ男のリングの属性を確認したあと紙を取り出し鼻をかむ
「…いつ見ても汚いな…」
レヴィは特に表情を崩すことなく思ったことを口にした。しかし白紙だった紙には地図が描かれている、マーモンはそれを見て南に205m西に801mの地点と何かを判断したようだ。レヴィは振り返り後ろにいた男達に命令を下した
「これよりヴァリアー・レヴィ雷撃隊、雷のリングの奪還に向かう。リングの所持者及び邪魔する奴は消せ」
『…雪兎。どうやら彼らは日本にきているようだ』
雪兎に抱かれていた白い猫は耳をピンと立て周りをキョロキョロと見回す。落ち着きのない猫の言葉に顔をしかめた雪兎は立ち止まった。
時は既に夜。
暗い空には我こそと星が競い合うように澄んだ光を放つ。そんな空を見上げていれば黒い影が四つ通り過ぎて行った。
『今のは…?』
雪兎は空を見上げたまま消えていった影の方向を目で追う。
『優羽?』
抱いていた猫は途端に暴れ出したため手を離す。すると猫は逃げていった。どうやら今はただの猫のようだ。
(肝心な時に帰るなんて酷いよ)
溜め息と共に鋭い目つきへと変わった雪兎はゆっくりと歩き出した。
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