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『あーもー寝不足!!』
あれから夜が開けた。特に変わったことは起きなかったがあの金色の目が忘れられなかった。
獣のような鋭い目つき。狩られてしまうのではないかとも一瞬思ってしまった。
当たり前のことなのだがボクも人の子、怖いものは怖い。
そう言えば優羽こないな…。
部屋の白いカーテンをよけて窓から下を覗いて見るが白い猫の姿は見つからなかった。…と言っても此処からでは地面まで相当な距離があるのでよく探さなければ見つけられない。
もっと下の階にしとけばよかったと呟いたあと窓を閉めた。そして鏡の前に立つ。
引き出しにしまってあった水色の小さなケースをボクは開けた。数枚ある内から一枚だけカラーコンタクトを取り出し右目に入れる。
この行為は何回も何回も繰り返しているのだがやはり慣れるものではない。少し抵抗があった。
紫の蛍光色の瞳が黒に染まったのを確認したあと少し大きめの学ランを羽織る。
『じゃ、行きますか』
暫くしたあと、ドアの閉まる音とともに聞こえる足音は小さくなっていき部屋は静かになった。
並盛中についたあとボクは教室には向かわず応接室に足を運んだ。
最近はいざこざ、まぁヴァリアーについてだが時間をとられてしまいがち。雲雀から与えられた仕事のノルマをこなさなければならない。
どうやらこの負担は下っ端風紀委員に回っているようだ。
いや〜悪いことしたな、なんて。
事務用の机の上に溜まった資料に目を通しながら小さく笑ってしまった。他人から見れば詫びる様子など微塵も感じられないだろう。
室内を見回したが誰一人としていなかった。草壁さんは多分街の見回り、下っ端さんらはどうせ校内でも彷徨いていると思う。
『(じゃあ雲雀は何処にいるんだ?折角仕事する気になったっつーのに)』
朝っぱらから昼寝かと、朝だから昼寝じゃないけど…いやまさかな。ボクは屋上へと向かうことにした。
そう言えば綱吉達は大丈夫なのだろうか。あれだけXANXUSの威圧を受けた。綱吉は怯えているのではないだろうか…。
『(…でも)』
あれでも骸を倒した男だ。
大丈夫だろ、きっとさ。
屋上へとたどりついた。
ボクの今までの思考はきれいさっぱり消えてしまった。
あるふたりによって。
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