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雲雀に遅れること数10分、ボクは応接室に戻ってきた。
雲雀の体にあった傷には既に包帯が巻かれていた。しかし短時間でそんなに早く手当てが出来るものなのだろうかと疑問に思ったが口に出すのは止めた。
「ねぇ、最近僕の並盛が荒らされてるんだけど」
資料に目を通しながら言う雲雀のこめかみにはシワがよっていた。どうやら犯人がわからないことにムカついているらしい。
そいつらマフィアなんですよ!‥なんて言えるわけないじゃないか。
ボクは『そうなんだー』と軽く受け流すつもりだったが雲雀は許してはくれなかった。不機嫌丸出しで睨みつけてきたのだ。
『建物の被害総額は結構いいお値段だしな、いやー困った困った』
「困ってるふうに聞こえないよ」
『いやいや、ボクはとてつもなく並盛が心配だ!』
その犯人知り合いの鮫なんだぜ!なんて言えねーよ。
勿論ボクも共犯者扱いされて咬み殺されるだろう。そそくさとソファーに座り、おいてあった資料を手に取った。どうやらどさくさに紛れて盗難事件が増えているようだ。資料にはぎっしりと字が詰められていた。
『じきに静かになるって、大丈夫大丈夫』
はっきり言ってこれから鮫達と戦うことになるんだ。勝てばいいこと。しかし雲雀はそれをわかっているのだろうかとふと思った。
跳ね馬のことだ、リングの説明はしてあるはず。ただ雲雀が意識しているかが問題だ。
『(しかし雲雀が雲の守護者だなんてな…)』
優羽は何も言ってなかったが確かに何か思っているはずだ。優羽のことを考えながら雲雀に視線を向ければまた睨みつけられた。
「君にも協力してもらうよ」
『は?何を』
「並盛を荒らすやつらを咬み殺す」
トンファーを持ち立ち上がった雲雀に呆気に取られていたら頭を叩かれた。鈍い痛みに顔を歪めていれば「早く」と急かされる。どうやら今から盗難事件やら何やら雑魚を先に片付けるらしい。
…今から!?
ボクは応接室にある時計をみて溜め息をついた。そして携帯を取り出し非通知のメールを開く。
メールの内容には時間と場所、そして"晴の守護者"と記されていた。
間に合うか?
そしてボクは雲雀とともに応接室を出て行った。
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