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沢田綱吉につく晴の守護者が勝利を決めた昨日に引き継ぎ、今日は雷の守護者が勝利を飾る日だ。しかし今日は雨。雷が鳴る激しい豪雨だ。
風はなかったが叩きつけるように降り注ぐ雨には立っているだけで体力を奪われる。
ボクはこの雨の中、真っ赤な傘を広げ校庭から屋上を見上げていた。

屋上の方では大きな避雷針に雷が落ち続け光続けている。

『(嫌な天気だね)』

屋上まで行こうかと思っていたが足が止まってしまった。既に勝負は始まっているはずだ。

ボヴィーノファミリーのランボとヴァリアーのレヴィ・ア・タン。

結果はどう考えても目に見えていた。ランボが負ける。
ランボは子供だ、レヴィの相手などつとまるはずがない。例え10年後に変わってもまだまだ実力は劣る。他に方法があるかも知れないがボクは思いつかなかった。

…何も、思いつかなかったんだ。

しかし何故ボクがこんなことで悩んでいる?

そう思うと不思議でならなかった。マフィアに慣れすぎたのだろうか、ただの気まぐれなのだろうか。

綱吉が、みんなが苦しんでいるから…?

そんなの分かっているんだ。分かって、いる。

『‥考えたって無駄』

暫く考えたあと結局そう吐き捨てた。
いつの間にか屋上の避雷針は見えなくなっていた。何かによって壊されたようだ。
勝負は終わったのだろうか。校舎に背を向けボクは校門を出た。なんとなく振り返ってみたが何も変わらない、もう一度校舎に背を向けたが

「‥珀槻雪兎。ふたりの内ひとり目の雪の守護者‥」

黒いマントの男が立っていた。

雨はより一層激しさを増し、ボクの心をも打ちつけた。





†+†+†+†+





『アンタどちら様?』

真っ赤傘をクルクル回しながら興味なさげに聞いてみたが、内心興味信心だった。気づかなかった。こんなに近くにいたのに気配も何もなかった。黒いマントの男は傘もささずに立っている、雨に濡れることは気にしていないらしい。

「…珀槻優羽。ふたりの内ふたり目の雪の守護者…」

だが答える気はないのかボソボソと何かを繰り返し呟いている。
それに若干苛立ちを感じて今度はきつめに声を張り上げた。

『聞いてんのか?』

すると男はゆっくり頷いた。

『だったら質問に答えろよ』

だが男は一言も喋らなくなってしまった。これ以上は時間の無駄だ、先程あった興味は既に薄れてしまった。
ボクは男を横切りその場を後にした。





「……♪」







誰もいなくなった校庭。男は雷雨の中小さく笑った。




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