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『あー…もう始まってんじゃんか!』

メールによって指定されていた場所は並盛中だった。雲雀に連れ回された挙げ句予定時刻より随分遅れてしまった。既に当たりは暗闇だ。

疑似太陽に照らし出された特別のリングの周りには人が数人集まっている。どうやらヴァリアーと綱吉達のようだ。やはり雲雀はいない。勿論骸もだ。
何だか近寄れなかったため、ボクは校舎内の窓から傍観することにした。

『眩しいな…何かめんどくさ』

光のせいで上手く見ることは出来ないが人影で何となく動きを掴むことが出来た。どうやら押されているのは笹川了平で有利な立場にいるのはルッスーリアのようだ。

「だってサングラスかけてるし?」

『そうなんだよ!流石オカ………』

暫くの沈黙のあとゆっくり隣を見れば影は笑った。そとの光に照らされた姿は金髪のにんまり顔、ベルフェゴールだった。外にいたはずの人物が何故ここに。
考えても仕方がないよな…ボクは無視して外のリングに目をやった。

「王子をムシー?ムカつくんだけど」

『…神出鬼没だ、ベルってさ。言っとくけどボクの方がムカついてっから』

口を尖らせそう呟いてみると隣からは笑い声が聞こえた。

「だってさー雪兎寂しそうだったし?」

『嘘つきは帰れー』

「本当なんだけど」

すると外から何かが割れる音がした。それに反応してベルとともに窓から身を乗り出す。リングを見ればライトがいくつか壊れているのが見えた。

「へーやるじゃん」

立て続けにライトが割られていくのを見てベルは窓縁に肘をついてから小さく息をついた。了平が拳に何かを乗せ放ったようだ。どうやら脱水症状により吹き出した汗の残った塩分を放ったらしい。
少しは考えて戦っているようだ。
だがルッスーリアも同じことをやってのけた。いや、さらにテクニックを要することをやったのだ。おかげで全てのライトが消えた。
ボクもリングが見やすくなりやっと直視することが出来た。リボーンが微かに笑っているのが見える。

『殺しの天才集団、ヴァリアークオリティってやつ?』

ボクがそう呟いてみるとベルはししっと得意気だった。
それよりもいつの間にかアルコバレーノが増えていることに驚いた。確か了平の家庭教師をしていたコロネロだ。

「ルッスーリア…遊んでるね」

『その余裕が最悪の結末を招くんだよ。あ、今すっげーいいこと言った!』

「ししっその一言で台無しだけどね。てか雪兎のセリフじゃなくて優羽っぽい」

「うわあああああ!!」

その瞬間鈍い音とともに了平の苦痛の叫びが木霊した。
右腕を抱え込むように座り込む了平の姿にルッスーリアが高らかに笑う。いまだに状況は了平にとって良くはなかった。そして長い戦いに痺れを切らしたスクアーロが野次をとばしていた。

「誰あの女?」

『女?』

倒れてしまった了平から目を離しリング周辺を見ればそこには笹川了平の妹の笹川京子と黒川花がいた。そして沢田家光、バジルの姿があった。
どうやらコロネロを探しに来たらしいがこのタイミングは流石に悪い。

『あれは笹川了平の妹』

「…似てない」

『最初はね、そう思うだろうけど。結構天然っぽくて似てるんだぜ?』

それより今の状況をどう切り抜ける気でいるのだろうか。妹ならば血を流し動けなくなった兄を目の前にして平常心ではいられないはずだ。

ボクも優羽がそうだったら、そいつ殺すし。優羽がそうなるほどの相手がいればの話だが。

「お兄ちゃんはねぇ、私との戦いに破れ殺されるのよ」

「やめてお兄ちゃん…!ケンカはしないって約束したのに!!」

ルッスーリアの挑発に京子は了平に戦いをやめるように説得し始めた。しかしやはり天然、この危機的状況を喧嘩だと思っているようだ。
だが了平は何かを決心したように立ち上がった。


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