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「獄寺君!!」

綱吉達は笑みをこぼしながら獄寺のもとへと駆け寄った。未成年が煙草を吸っていていいのだろうか、ボクはまず最初にそう思ってしまった。
しかしよく見れば獄寺の身体には包帯が巻かれていた。多少無理のあることもしていたのだろう。

「約束の時間に間に合いましたので勝負への参加を認めます」

ギリギリだが間に合ったことに山本は嬉しそうだった。しかしどことなく浮かない顔をした綱吉は、口先をつり上げているベルの方を見ていた。

『綱吉?』

「……」

『?』

「それでは戦闘フィールドの説明をします」

表情の変わらないチェルベッロは淡々と話し始めた。
説明によると今宵のフィールドは校舎の3階全て、更にハリケーンタービンと呼ばれる箱型の装置があらゆる場所に設置されている。
どうやら強力な突風を発生させることができるらしい、まさに嵐の守護者の戦いに相応しい装置といったところだ。
勿論装置の突風をまともに受ければ吹き飛ばされてしまうだろう。
その証拠にチェルベッロがスイッチを入れた装置の突風が椅子や机をいくつも吹き飛ばし窓ガラスを割った。
外には机と椅子が放り出されている。

「試合開始から15分後にどちらかが嵐のリングを完成し所持しなければ、ハリケーンタービンに仕掛けられた時限爆弾に順次爆発しこの階を全壊にします」

「全壊!?そ、そんなっ!!じゃあ勝負がつかなければ二人ともっ…!」

「死ぬでしょう。2人とも守護者にはふさわしくないということです」

残酷で最悪な結末を想像してしまったのか綱吉の顔はいつにもなく真っ青だった。どうやらXANXUS、彼も本気のようだ。

「デスマッチかよ。おもしれーじゃねーか」

綱吉の心とは裏腹に獄寺は自身があるように笑っていた。

『ん…?黙って校舎の破損を見送るってことは、ボクが雲雀に怒られるってこと?』

「そういえば雪兎は風紀委員だったのな」

「テリトリー荒らされたヒバリなら怒られるどころじゃねーだろーな」

『……どうにかしてよリボーン、あんたなら出来るだろ』

「ムリに決まってんだろ。潔く諦めろ」

その後、割れたガラス音に気づいたのかトライデントシャマルがこの場に駆けつけた。チェルベッロにセクハラをしたあと、ヴァリアーに綱吉達側へとつくことを宣言した。

「へぇシャマルがあいつらとね」

「ディーノにコロネロにシャマル…そして雪兎か、これほどの人材が何故集まる…。いったいどーなってやがんだぁー」

「まあ、でも楽しめそうじゃん今日の勝負の相手」

スクアーロと小さな赤ん坊は疑問を持ち始めるが、ベルには特に驚いた様子はなかった。

「よしそれではいつものいくぞ!!」

「なぁ!?」

気合いを入れた様子の了平の発言に獄寺が嫌な顔をした。

「ちょっ待ていらねーよ!!んな恥ずかしーもん!!オレの勝負に円陣なんていらねー!!」

『猿人?』

「てめーはアホか!!猿人じゃなくて円陣だ!!」

『‥わ、ワザとだ』

「おもいっきり動揺してんじゃねーか!!」

ボクにはよく分からないが獄寺は腕を掴む了平に必死抵抗する。…因みに今の漢字間違えはワザとだ。くれぐれも勘違いしないでくれ。

「そういわずに…や、やんない?獄寺君…」

「な、10代目!?」

「な…なんていうかさ…、うまくいえないけどこの勝負はみんなつながってるっていうか…。誰一人欠けてほしくないから、しっかり団結した方がいいっていうか…」

綱吉は照れながらも獄寺を説得し始めた。頼むから誰かボクに説明して欲しいのだけれど。

「10代目…そこまでファミリーのことを…自分わかってませんでした!!やりましょう!!やらせて下さい!!」

すると獄寺はやる気になったのか、いや、だから何をやる気になったのかボクに教えてほしい。なんだかもうどうでもよくなってきた気がする。
ボクは盛り上がっている綱吉達から離れ壁に寄りかかった。

「よぉ、お前は入らねーのか?」

横に来たシャマルは綱吉達を見ながらニヤリと笑っていた。綱吉達は獄寺を中心に肩を組み気合いを入れている。

『見に来ただけだし』

「どっちをだ?」

どっちを。多分シャマルはベルと獄寺、つまりヴァリアーと綱吉達のどちらにつくのかということを聞きたいらしい。
だがボクも一様綱吉達側の守護者。必然的に綱吉側になるだろう。

『貴方に話すべきことはありませんけど』

「‥イヤなガキだな」

そして嵐のリングを奪い合う戦いが始まった。


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