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中山外科医院の一室にランボが入院した。

アルコバレーノであるリボーンから聞いた話では、雷の守護者の勝負でかなりの重傷を負ったらしい。ちなみにあと一歩のところで勝利を逃したのだと。
だがどれも喜ばしいことではなかった。

「こんなになるまで…いったい何があったのかしら…」

ベットに横たわるランボを見ながら沢田綱吉の母、沢田奈々が椅子に座った。自分の子を見るような眼差しにボクは困るしかなかった。
膝にはイーピンが静かに座っている。

『…すみません、何も言えなくて』

「雪兎君が謝ることなんてないの、ありがとうね…」

罪悪感。どうしてこんなに苦しくなるのかわからなかった。しかし何故奈々さんは何も聞かないのだろう?

傷だらけになった息子、腕を包帯で固定した息子の先輩、重傷で意識のない幼い子供。本当は理由を問い詰めてでも聞きたいはすだ、なのに聞かずにいてくれる。なんて強い人なのだろう。これが母親と言うものだろうか…。
自分自身にもいたはずの顔も知らない母親も、奈々さんみたいに優しくて強い人だったのだろうか。だがそんな想像も、結局は他人だ。

「「おばさん!!」」

勢いよく部屋のドアが開いたと同時に声が響いた。そこには笹川了平の妹の笹川京子と三浦ハルがいた。急いで来たのだろうか、息が荒れている。

「京子ちゃんハルちゃん来てくれたの?」

「ランボちゃんは!?」

いつの間にか眠ってしまったイーピンを抱きながら奈々さんは嬉しそうに顔を上げた。

「峠は越えて安定してる。あとは意識が戻るのを待つだけよ」

「ランボ君こんなに…!?」

「何があったんですか…」

今にも泣き出しそうな顔をしたふたりに奈々さんは言葉を詰まらせた。優しい彼女に嘘はつらいのだろう。そしてお互いに真実は知らないのだ。

「昨日の‥」

『昨日の雷雨で視界が悪かったらしくてさ、そのあと運悪く坂を転げ落ちたんだよ、運悪くね』

「雪兎君…」

少し驚いた様子の奈々さんを後目にボクは嘘をついた。

「ランボちゃん…」

「そんな…かわいそう」

ボクは何だか居づらくなった。部屋を後にした。


嘘をつくのはなれている

ボクは呟いた。


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