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雪。
現実のように冷たくてボクの心を凍り付かせるほど静かで
でも何処か優しくて
でも何処か寂しくて
でも何処か誰かに似ていて
今宵は満月。
さぁボクを踊らせてよ
それがMARIONETTEの定めなのだから
「なんで今まで他にもリングがあるって教えてくれなかったんだよ!」
綱吉は室内で叫ぶように言った。ベットに腰をかけていたため上半身を前に乗り出すような格好になってしまった。ギシリとスプリングが軋む音がする。
「別に隠してたわけじゃねーぞ、ただ今まで話す必要がなかっただけだ」
イスに座り銃の手入れをしていた赤ん坊、リボーンは手を止めることなく淡々といった。
勿論綱吉は、はいそうですかなどと納得するわけもなく眉を僅かにつり上げたあと軽く俯いた。
「話す必要とかそーゆーのじゃなくて…。だからこのリング争奪戦はみんなの、仲間の命がかかってるんだ!できるだけ、些細なことでもいいから…知っておきたい」
顔を上げた綱吉の真っ直ぐな視線に応えるよう、リボーンは小さく笑った。
ボスらしくなってきた、と。
「掟なんだ、オレの口からはまだ詳しく教えることはできねー。…聞きたければ本人達に聞くことだな」
「だからその守護者って!……本人達…?」
「夜になればわかる。それまではお楽しみだ」
それからはリボーンは綱吉の問いには一切答えなかった。
雪の守護者。なろうとしてなれるものではない。
瓜二つのふたつのリング
拒まれれば死
選ばれれば生
酷な運命を背負ったふたりの少年
リボーンはそっと目を伏せた。
『あ"?』
「だから、大丈夫なのかって聞いてんだ!」
並盛のあるマンションの一室。やたら豪華で広く、窓からみる景色は格別だ。そこには少年と青年がいた。
『バカにしてんの?』
少年、雪兎はソファーに深く座りイライラした様子で青年、ディーノを睨んだ。落ち着かないのか目線が定まらない。
ディーノは向かいのソファーに身を沈め慌てた様子で雪兎に弁解した。
「違うって、ほら!なんつーかやっぱ今回はヴァリアーだし…心配なんだよ」
『心配される覚えはないっつーの、とくにあんたからは』
「でもどう思っても自由だろ、な?」
『…うぜぇ、勝手にすればいーじゃん、関係ないし』
雪兎は目をそらし口をとがらせた。それをみてディーノは素直じゃないと言いそうになったがこれは黙っておこうと胸にしまった。
『それより敵さんの情報はないの?』
「あぁ、それなんだけどな。聞いた話しじゃ最近腕を買われ入隊した新入りだそうだ。なんでもひとりはお前等と変わんない年頃だと、相当の変わり種だってさ」
『結局たいした情報は手に入らなかったと』
「しょーがねーだろ?急だったし」
『あと…ディーノ』
「なんだ雪兎?(名前呼ばれた!)」
『何であんたがここにいるんだ?』
跳ね馬ディーノが帰った後、ボクはクローゼットから黒いロングコートを取り出し羽織った。
さらに黒いケースから黒い手袋、そして白い仮面を取り出した。
『大丈夫だ』
雪兎は自分に言い聞かせるように呟いた。
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