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『やあやあ雲雀君ご機嫌いかが?』

「君…今まで何処にいたの」

綱吉とモスカの交戦中。ボクは雲雀の姿を見つけた。
遠くから見た時学ランを羽織ってなかったくせにこの状況でちゃっかり着ていた雲雀。いつ着たんだか。

『おまえ本当に学ラン好きだな』

「?」

くすんだ空を見上げれば爆発、綱吉、モスカ。

あれが綱吉の修行の成果。手にはめたグローブからはオレンジ色した綺麗な炎がゆらゆら揺れている。
どういう原理かは知らないが空を飛ぶことが出来ている。
人間業…じゃねーよなアレって。

「沢田綱吉。彼は少し変わったようだね」

『命かけてんだ、変わるもんさ』

「ふぅん…君も命かけたら変わるのかい?」

『何もかわらないね、自信ありまーす』

「変わるって言ったじゃない。嘘つき。咬み殺す」

『あまりにも理不尽すぎて涙でるねぇ』

かわらないさ、命なんかとっくにかけてんだ。
いつの間にか爆発音がやみモスカの動きが止まっていた。
皆の視線はモスカから出てきた人の形をしたものへと注がれる。綱吉とリボーン、バジルが深刻そうな顔をしていた。

「…誰あれ」

『あれは…』

倒れていたのはボンゴレファミリー9代目。何故9代目がここに?
それと同時にXANXUSの顔を確認した。
そこには悲しみや怒りはなく喜びといった狂喜にも似た笑みがあった。

あの野郎…育て親を裏切りやがった。

「おいしっかりしろ!」

リボーンが救急箱を片手に駆け寄り頭をさすった。半壊したモスカを見てリボーンは舌打ちする。

「モスカの構造…前に一度だけ見たことがある…9代目はゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな」

悔しそうに唇を噛む。その隣で綱吉はパニックになっていた。

「ど…どーして!?」

「どーしてじゃねーだろ!てむーが9代目を手にかけたんだぞ」

それを一括したXANXUSの顔には笑みが消えていた。

「オ…オレが…?」

汚れた手を見て綱吉は体を震わす。
リボーンは急いで9代目の傷をみるが応急処置でどうにか出来るものではないことを知り顔を更に曇らせた。

「誰だ?じじぃを容赦なくぶん殴ったのは」

怯える綱吉をXANXUSが追い詰める。

「誰だぁ?モスカごとじじぃを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ」

何処か嬉しそうに皮肉気に言葉を繋ぐ

「オ…オレが…9代目を…」

「……ちがう…悪いのは…私だ…」

否定したのは綱吉でも誰でもない。9代目だった。
XANXUSのこめかみにシワがよる。

「9…9代目!!」

「やっと会えたね…綱吉君…すまない…こうなったのはすべて私の弱さゆえ…私の弱さが…XANXUSを永い眠りから目覚めさせてしまった…」

前に聞いたことがある。
優羽から聞いたのだが8年前に起きたボンゴレ史上最大のクーデター。
9代目の息子XANXUSが反乱軍の首謀者という恐ろしい事実。

「XANXUSは…8年間止まったままだったのだ…あの時のまま眠り続けていたのだよ。恐ろしいほどの怒りと執念を増幅させて…」

「え…!??ど…どーゆー…」

「一体何が…」

咳とともに血を吐く9代目。
もう彼は永くはない。別れの時は刻々とせまる。

「何処いくの、今来たばかりでしょ」

皆がボクに気づかぬうちに退散しようかとしていたのだが雲雀に止められた。

『ほら、ボクが最低なことする前に帰るの』

涙を流している綱吉を一別しその場からゆっくり離れた。




マフィアが死んだってどうってことない。
だってボクにとっては喜ぶべきことだから。
例えそいつがどんなに尊敬されていたって。
どんなに慕われたって。どんなに愛されていたってボクには関係ない。

誰が悲しもうと関係ない。ボクは笑うだけ。


でも今日のは特別。

ボンゴレの9代目が死はボクにとって悲しむべきことじゃない。だいたいボンゴレのトップがこんなにあっさり死ぬだろうか?

今日は何も思わないでいてあげる

特別だよ君たちだけは


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