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『どこいったの優羽…』
その頃、零れる涙を服の袖でふきながら雪兎はとぼとぼと歩いていた。
歩いても歩いても知らない場所。兄の姿も見つからない。
たどり着いたのは小さな公園だった。
『どこいったんだよ…おいてかないでよ…』
誰もいない公園のブランコに座り途方にくれていた。
「おや?…君は」
『…?』
目の前にいたのはオッドアイの男。
オッドアイの男は少年に優しく微笑んだ。
『いない…どこにもいない…』
結局迷ってしまった優羽は立ち尽くしていた。進めば進むほど人気のない場所へと足を踏み入れてしまう。
廃墟のように薄暗い路地裏に優羽は怯えていた。
バサバサバサッ
『なにっ!?』
カラスが飛び立つだけで涙が出そうになった。
前方から近づいてくる足音に気づき立ち去ろうと思ったが、何処へ行けばいいのかわからず動けなかった。
足音が大きくなり、また涙腺が緩む。
そして現れたのはつり上がった目をした黒い人。
「君…迷子かい?」
手に持っていたトンファーには黒くなった血がついていた。優羽はいろんな意味で怖くなり肩を震わせる。
「何処からきたの、さっさと帰りなよ」
『……』
「ねぇ、聞いてるの」
不機嫌になってゆく目の前の男に優羽は我慢の限界に到達していた。ここには心の支えはない。ついに
「いい加減に」
『…ふぇ…もうやだぁぁぁぁぁぁ!』
「ちょっと、泣かないでよ」
優羽は泣き出すのであった。
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