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「君の家は何処なの」

『…わかんない』

優羽は雲雀と名乗った男により宥められ落ち着きを取り戻しつつあった。
しかし質問によっては泣き出しそうになる目の前の少年に、雲雀は極力優しく聞いた。
だが少年は雲雀の顔は見なかった。

「そんなに僕の顔を見るのはイヤかい?」

『やだ、こわいもん』

「…保護者、家族は?」

『ふぇぇぇぇ…雪兎ばかぁぁぁ』

急に泣き出した少年に雲雀は慌てながら小さな背をさすった。だが気になることがひとつ。

「雪兎…、君は珀槻雪兎の弟?」

『?、なにいってるの…僕が、お兄さんだよ』

「…君の名前は?」

『珀槻優羽』

雲雀は信じられないと言った様子で目を見開き、羽織っていた学ランのポケットから携帯を取り出した。
電話をつなげる先は赤ん坊、リボーンだ。
しばらく携帯を片手に、泣きじゃくる優羽を放置しながら話し込んだ。
雲雀は溜め息とともに携帯をしまう。

「優羽も昔は普通の子供だったんだね…」

『なに言ってるの?ばかじゃないの?』

…何この子、生意気

『雪兎を見つけないと、はやく行こうよ黒いお兄さん』

「何その呼び方、もっとましなのはないのかい?」

黒いお兄さんって…

優羽はしばらく唸ったあと嫌そうな顔をした。

『雲雀のお兄さん』

あまり変わっていない気もするが…。

ねぇ赤ん坊…いったいこの優羽は何歳なの?

と言うよりこの子イタリア生まれなのに日本語話せてるんだけど?
少ししたあと優羽に聞いてみたが

『なんでそんなこと言わなくちゃならないの?プライバシーの侵害だよ雲雀のお兄さん』


ねぇ…本当にこの子優羽なの?

何かの間違えじゃないの?
雲雀は混乱するばかりであった。


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