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「すまねぇな、武なら朝からバッティングセンターに行ってんだ」

『…たく、朝から野球かよ』

竹寿司へ向かったが山本はいないと山本の親父さんに言われた。
しょうがねぇなとバッティングセンターへ向かおうと思ったが

『親父さん大トロ宜しく!』

「武の友達ならサービスしてやるよ!沢山食ってけ!」

うん。食欲には負けるよね。



腹一杯に寿司を詰め込んだボクはバッティングセンターへと向かった。バスに乗り歩いて数分がたつ。
バッティングセンターに行ったことはないし知識も殆どない。しかし興味そそられるものである。
だが道端で見覚えのある姿を見つけた。あの黒髪、後ろ姿からしてハルだ。

「はひ、雪兎君じゃありませんか!どーしたんですかこんなところで?」

『山本に会いに行こうかと思ってさ』

「そうなんですか!」

「雪兎みーっけ!ランボさんの勝ちだもんね!」

『あん?誰が勝ったって?』

スタタタと走ってきたランボのアフロをくしゃっと掴み持ち上げる。
小さく八つ当たりだ。

「ぐぴゃ!はなせ、はなせチビィ!」

『チービーだーとー?』

両手両足をジタバタさせる幼児の顔を眺めていたらランボの体は横へ消えた。

「イジメるなんて酷いです!雪兎君がそんなぼーりょくてきな人だったなんて知りませんでしたっ!!」

『何だよ、ただちょーっと掴んだだけで暴力的とか決めんなよな』

「甘いマスクで人を惑わすなんて…ハルはブロークンハートですぅ!」

『なんか話がわかんなくなってきたんだけど、泣くなよ泣くな!』

さっきまで怒っていたように見えたがいきなり泣き出すハル。慌てて頭を撫でてやると

「そ、そんなことしてもハルの機嫌はそーかんたんになおりませんよ!軽くなんかないんですから!」

もう、本当に女って意味わかんねぇ。そんなことを思っているとズボンを引っ張られた。三つ編みが垂直に立っている。

『確かイーピンだった?』

「※†〆£§」

何を言ってるか全くわからないが気にしないでおこう。笑って流せばいい。

「*¥♀¢∞*〆!」

「¢♀〆!」

「∴℃&%♂@?」

『…ランボ、訳して』

「あら、雪兎わかんないのー?バッカじゃないのー?」

人を馬鹿にするこの態度。獄寺の気持ちがやっとわかった気がする。だから可愛いもの大好きな兄でもこいつに興味ないのか。

『ハルはスゴいな、よく疲れねーよな』

「はひ?何で疲れるんですか?」

『いや。別に』

随分話こんでしまったような気がする。早く山本に会いに行かなければ。
もしかしたらもう既に家に帰っているのかもしれない、すれ違いは時間の無駄になってしまう。

『じゃ、そろそろ…』

その瞬間ドカンと数発発砲音が響き渡った。弾丸はハルに命中しモクモクと煙が立つ。

「あ、雪兎君!こんにち…え?」

何て嫌なタイミングなんだろうとボクは意識が飛びそうになった。手を振り近寄ってきた笹川京子目掛け、宙をさ迷っていた弾丸は飛んでいく。
彼女は勿論煙となってしまった。

「はひ?ここは何処ですか!?」

「あれ?私どうしてここに…?」

「ここは…10年前?」

「獄寺氏たちは…あ、若き日の雪兎さんではありませんか!」

もう溜め息しか出なくなったボクは空を仰ぐ。

『もーこんなのイヤだ』

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