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【ラルside】
奴に嫌なところを見られた。
いつもあいつは飄々としていて何処からともなく突然現れる。部屋を出る前に後ろから小さく笑い声が聞こえた。何がおかしいんだバカが…
「お…お願いです!!この時代の戦い方の指導をしてください!!」
「………」
どいつもこいつもバカばかりだ。目の前で土下座する沢田綱吉と獄寺隼人に目を向ける。
「何のマネだ」
「オ…オレ達もっと強くならなくちゃいけなくて…。でも、リングの使い方とかわからなくて…えと…」
必死な沢田の顔とは正反対で獄寺は嫌そうな顔をしている。人に頼んでいる態度がなってない。さしずめ
「リボーンの差し金だな」
すると隠れていたのか知らないが白いスーツに身を包んだリボーンが沢田の頭に着地した。
「ピンポーン、守護者を集めるには戦力アップは絶対必要だからな。お前以外適任者はいねーんだ」
「断る。山本に頼むんだな」
「それがな山本は見ての通りただの野球バカに戻っちまったんだ」
リボーンは沢田の後頭部から背の縮んだ山本の右肩へと移った。首には鎖に繋がれたリングが存在している。
言い訳もいいところだ。山本がいたとしてもオレに相手をさせるつもりだったのだろう。
「お前達と遊んでいるヒマはない、オレは発つ。ここでじっとしていろ、少しは長生きできるぜ」
どうせ何も出来はしない、そういう意味も込めて言えば切羽詰まったように沢田が叫び出す。
「ちょっと待ってください!!真剣なんです!!リボーンに言われたからってわけじゃ…」
「もうやめましょう10代目っ」
人に頭を下げる自分のボスを見ていられなくなったのか、もしくは自分が頭を下げていることに我慢ができなかったのか獄寺は沢田を止める。
「あんな女頼りにすることないっスよ!」
「でも…」
「だいたいあいつに指導者の素質があるとは思えないっス!!」
「その点はスペシャルだぞ」
この世界で起きていることの重大さ、人をわかろうともしないガキが…言ってくれる。
『思っている以上に力をつけるよ、断言してあげる』
あいつが言っていた言葉が頭をよぎる。果たして本当か、断言までされているが…やはりオレには到底思えない。
「ガハハハ!!」
ここも随分と騒がしくなったものだ。
静かすぎたこのアジトも気味の悪いものだったがこれはこれで気分が悪い。
「キャアア!!!」
今度は何だ?ガキの笑い声の次は女の悲鳴。
慌てて走り出す沢田たちのあとに続きキッチンへと歩いて行く。するとジャンニーニの姿があった。
遠くから見ていたが呆れてものも言えない。
「こんな乳くさいままごと集団がこの先生き残れると思うか」
オレの目の前にいるリボーンの後ろ姿に投げ掛けてみる。
「どーだろうな」
言葉とは裏腹に自信あり気に聞こえた。
「見込みはゼロだ。ボンゴレリングを持っていようが使い手があれでは勝てん」
あいつにも言ったがリボーンにもわからせる必要がある。
「オレには見込みのないガキを鍛えているような無駄な時間はないんだ」
「優羽にもそう言ったのか?」
「!!、…気づいてたのか」
するとリボーンはくるりと此方を向いてニッと笑った。だが何処か悔しそうな顔をした。
「気づいたんじゃなくて、気づかされたんだ。お前の部屋の前で微かに気配を感じた」
あれはわざとだ、そう付け足しまたくるりと背を向けた。拗ねているんだかなんだか知らないがまぁいい。
「あいつの言葉はどうも信じられん」
「だが確かに見る目はあるぞ、本意かどうかは別としてな」
「興味がないかあるかだと思うが」
「かわってねーなアイツも」
急に嬉しそうな声色に変わるリボーン。これほどまでにクルクルと感情が変わるリボーンが見られるとは思ってなかった。
それほどまでに奴は特定の人間を魅了する奴なのだろうか。
やはりオレにはわからん。
そんな呟きは溜め息とともに消えていった。
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