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「思い出したぜ、お前はボンゴレ雲の守護者雲雀恭弥だ」

「だったら?」

男の周りの木々は倒れ砂埃や煙が上がる。
おかげで少し離れたここからでもよく見えるし声も聞こえる。

「お前にはうちの諜報部も手を焼いててね。ボンゴレの敵か味方か…行動の真意がつかめないとさ」

確かに雲雀は命令されることを嫌い独自に判断し動く。ミルフィオーレからしたら確かに真意がつかめない混乱の種なのだろう。

「だが最も有力な噂によればこの世の七不思議にご執心だとか、匣のことを嗅ぎ回ってるらしいな」

「どうかな」

「得体の知れないものに命を預けたくないってのは同感だぜ。で、こいつを誰が何のためにどうやって創ったか真実はつかめたのか?」

男の言うとおりだが今はそれに頼るしかない。確かにこの謎だらけの匣のことは気になる。

先程から表情がかわらない雲雀とは違い男は薄く笑う。

「それにも答えるつもりはないな、僕は機嫌が悪いと言ったはずだ」

「やはり雲雀恭弥はボンゴレ側の人間だったというわけだな。いざファミリーが殺られるとなれば黙って見てはいられない」

…雲雀君が助太刀ね

今更気づいたことだが男の後ろで倒れているボンゴレ側は知った顔だった。
獄寺隼人と山本武。傷だらけでありとあらゆる所から流血している。
2対1で彼らが負けたとなると男は隊長クラス。

隊長クラスで金髪…誰だったかな

だが名前は浮かんでこない。

「僕は怒ってるのは並盛の風紀が汚され…再会を邪魔されたことだ」

『!』

気づかれた。チラリと此方を向いた雲雀の目は逃げるなと言っているようだった。まぁ元々探しに来たのだから逃げる気はない。

「さっさと出ておいでよ。もっと近くで見物したら?」

呼ばれているが戦闘に巻き込まれるのはめんどくさい。僕はそのまま見物することにした。

「クスッ…お楽しみは後か。照れ屋だね」

「………(なんか急に人格変わったな…ピンクオーラ出してるし)」

…やっぱり来なきゃ良かったかな

「まぁいいさ敵の守護者の撃墜記録を更新するのは嬉しい限りだ。…他にも仲間がいるみたいだがそいつは後だ」

どうやら男の方は此方に気づいていなかったようだ。何故雲雀にバレたのだろうか。下らない答えが帰ってくるような気がするけど一様後で聞いておこう。

男と雲雀は同時に匣を開け攻撃をぶつけ合う。男はキツネ、雲雀のはハリネズミ。
比較的かわいらしいがパワーはかなりのもの。

「これだけの匣ムーブメントをよくそんな三流リングで動かせる」

「僕は君達とは生き物としての性能が違うのさ」

パリンッと雲雀の右手のリングが砕け散る。精度の低いリングでは波動に耐えきれなかったのだろう。
僕意外にリングを使い捨てにする人を見たのは初めてかもしれない。

新しく指にリングをはめた雲雀はまた新たに匣を開けトンファーを取り出す。紫色の綺麗な炎が揺らめく。

頭上で火花を散らすなか、その下で接近戦を繰り広げるふたり。
ともにスピードはあるがやはり雲雀の方が上手。もちろん雷の炎を雲の炎で破り男を殴り飛ばした。
砂埃がまうとバチバチと電気があたりをつつむ。

「いやーまいった、楽しくなってきやがったぜ」

だがその一撃はうまく流されたらしく大ダメージとはいかなかったようだ。
これくらいやってくれなければツマラナイ。雲雀は楽しげな顔をしていた。

僕も隊長クラスがどの程度のものか少し興味がわいてきた。

だがまず先に用事をすますことにしよう。

僕は迷わず倒れている獄寺と山本の方へ足を運んだ。そこには黒いスーツの男がいた。

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