ME book

□U
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朝食を終え一段落つきました。
しかし私は厨房へ立ち真っ黒になった鍋の底と格闘中。

『後始末ぐらい出来なくてどうするのです』

「いやよ。黒こげってしつこいじゃない?断っても断っても追いかけ回してくるストーカー(クソ野郎)のように(チッ」

椅子に座り漫画を呼んでいたハウスメイド。
漫画には銀●と書かれていて時々「むふふ」と怪しい声を上げる。
鍋を焦がした張本人なのですが手伝う気は全くなさそうです。

「あーもー!思い出しただけでイライラする。あの茶髪野郎次合ったら切り刻んでやるわ!フォアタァァー!!」

『顔が野生に戻ってますよ』

「レディに対して失礼よ失礼!それで執事なわけ?」

『えぇ執事ですよ。あくまでですがね』

調子に乗って先輩の真似事をいってみました。

「ま、イケメンだから許しちゃうv」

『それは良かった。貴女は根に持つ方ですから』

「うふふ照れちゃってカーワーイーイーvVもぅ襲っちゃうぞ?てか襲わせろ」

彼女の名前はチェルシー通称チェル。
この広い屋敷にいる唯一のハウスメイドなのですが、少々おかしな発言や行動が目立ちます。

あえてそこは気にしないよう心得ているものの

「やっぱ銀土いい、キュンキュンする」

…キュンキュン?

「でもリアスがここに割り込んで…むふっ…ふふふふふ///」

………。

「イヤンvリアスってばもぅ積極的なんだからん///」

前言撤回です。このハウスメイドは思ったより重症でした。

「何がイヤンで積極的なんだ?」

「トワとリアスが禁断の花園で「もういい。聞かなかったことにする」あらそう?」

『良い判断です。"今日の"スープはなかなかでしたよ』

「そりゃどーも。今日のスープは自信作なんだよ今日のは」

いじけたようにチェルの横に座ったのはシェフのトワ。
ここでは主達の兄のような存在だとチェルから聞いています。

『…綱吉様がお呼びしていますのでコレはお願いしますねトワ』

「は、俺が!?」

『それでは』

いまだに焦げ付いている鍋をトワに押し付け向かう先はお坊ちゃんの部屋。



「おーい、本当に呼んでんのか。何でわかるんだ?」

「愛…えぇ愛のテレパシーなのよ!あぁん!見えない絆で繋がった主と執事って…むふふふ///」

「…手伝ってくれよ」

「いやよ」



★★★★★



『何のご用でしょうか坊ちゃん』

「…本当にきたんだ?」

『執事たるもの主に応えて当然です』

呼び鈴をジッと見て小さく鳴らしたあと笑った綱吉坊ちゃん。
私は悪魔で執事。聴覚の優れた私が呼び鈴を聞き逃すことはありません。

「明日任務からふたり帰ってくるから宜しく」

『畏まりました。お名前をお聞きしたいのですが』

「あぁ、はいこれ」

小さなファイルブックから取り出されたのは2枚の写真。

「こっちの不良っぽいのが獄寺隼人、こっちの爽やか系は山本武」

薄いグレーのベストを着こなした目つきの悪い青年の写真には綱吉坊ちゃんが一緒に写っていた。

『なる程、ご友人関係ですか』

「えっと…まぁそうなるかな」

少し落ち着きのない綱吉坊ちゃんからの様子からして彼らになにかあるようだ。
爽やかな武坊ちゃんは問題も何もありそうもないですし…とすればやはり隼人坊ちゃんでしょうか?

「直ぐになれると思うから」

『主であることは変わりありません。それよりも私のことなどお気になさらずご自分の身を案じて下さい』

「は?」

するとギィィとドアがゆっくり開くと同時に黒い帽子が覗く。

「おい…」

「何だよリボーン勝手に入ってくんなよ」

『では失礼致します』

「あ、リアスまだ用が‥!」

パタンとドアを閉めたあと部屋からは綱吉坊ちゃんの叫び声。
そしてリボーン坊ちゃんの怒声が聞こえてきた。

綱吉坊ちゃん。書類のミスは命とりですよ。

「うわぁああああ!!ちょ、助けっ…リアスーー!!」

『さて、仕事仕事っと』




(薄情者…)
(執事ですから)
(いいのかそれで…?)


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