ME book
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『おや?隼人坊ちゃん』
やたらと豪華な噴水の前に彼はいました。
ベンチに座り足を組み本を読んでいるようです。
読書がお好きなのですね。
「あ、おまえ」
『紅茶はどうですか?』
「もらう」
テーブルが設置されている場所の椅子に座り直した隼人坊ちゃんは眼鏡を外した。
私はテーブルに白いシーツを広げティーカップに紅茶を注ぐ。
ほのかに甘い香りがした。
「10代目とリボーンさんからおまえのことを聞いた、優秀だってな…」
そう隼人坊ちゃんはおっしゃいますが実際はまだ見習いです。セバスチャンからまだ美学は教わっていませんし。
『まだ私は半人前です、こちらに来てあまり月日も立っていません』
甘さを控えたチョコレートケーキを差し出すと隼人坊ちゃんはホークに手を伸ばした。
チョコレートは決して骸坊ちゃんのリクエストでは御座いません。昨日から決めていましたので。
『そう言えば、隼人坊ちゃんは仕事が速くて助かると綱吉坊ちゃんがお褒めになっていましたよ』
「10代目が!?」
ん…幻覚でしょうか?
彼の頭から獣耳が見えます。
『えぇ。(しかし問題児でもあると)』
「…おまえは何でなんも言わねーんだよ?」
『何をですか?』
首を傾げる私に隼人坊ちゃんは顔を曇らせた。
私何か失礼なことしましたか?
隼人坊ちゃんの部屋のシーツも取り替えたし掃除もしました。思い当たることはありません。
「いや、だから、…この前オレのダイナマイトで…」
そう言えば初対面の時は最悪でしたね状況が。
綱吉坊ちゃん(子供)にキスされそうになった私と、何の勘違いかはわかりませんが涙目でその場を爆破した隼人坊ちゃん。
おかげでその場は半壊、さらにリボーン坊ちゃんからのクレーム。
私の信用が揺るがされました。
『隼人坊ちゃんたちにお怪我がなくてよかったです。何があってもそれだけは許されませんから』
「…!、おまえ…」
あの、なんか話に聞いていた隼人坊ちゃんは絵に描いたような不良で最凶だったのですが…。
何故獣耳がぴょこぴょこ動いているのでしょうか?
あぁ…私疲れてるんですね、尻尾が見えます。
彼は犬ではありませんよ私。
『それでは私はこれで』
その場を離れようとした私に隼人坊ちゃんは顔を上げました。
あぁ、いけない。
やはり獣耳が見えます。
「リアス、いやリアスさん。オレ、ついていきます!」
…………いけない
幻聴まで聞こえる
「オレ、あの時10代目まで巻き込んで、しかもダイナマイト投げつける前に落として自滅しそうになって、リアスさんが10代目と同じでオレを命がけで…!感動したっス!!」
あぁ。今日は速く寝ることにします。
『…お休みなさい』
「え?どうしたんスか?」
私は頭を抱えて自室へ戻ることにしました。
(リアス、あとで珈琲持ってきてよ)
(トワ、頼みます)
(え!?俺かよ!?)
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