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トイレから出ると綱吉の頭目掛け何かが飛んできてぶつかった。
『おや痛そう』
その際に彼は「も"」と発音することが出来ない言葉を発した。
もちろん被害を受けないよう一歩下がり非難した。
「わりぃ!!まだノーコンでな!あ、優羽いつか手合わせ願いたいのな!」
『おや珍しい』
彼からそんなことを言われたことはなかった。だから少し嬉しかったりもする。
「や…山本!!…ってか廊下で何やってんの?」
「軽いランニングよ」
シャーッと何かが滑る音、それは綱吉を踏み台として小さくジャンプする。
「おや可愛い」
小さなタイヤがついた子供用の遊び道具に乗っていたのは黒髪ポニーテールのリボーンだった。
ご丁寧に赤いジャージには女子マネと書かれた名札が縫い付けてあった。
「匣のつばめをとばしながら5キロのウェイトをつけて42キロ走ってんだ」
「なぁ!?42キロってマラソンじゃん…」
ピーッと玩具の笛を鳴らし平然と言ってのける彼、いや彼女。
確かに42キロではマラソン、普通の中学生のトレーニングに入れる内容ではない。
『おやマフィアだったか』
「優羽さんさっきからなんなんですか!?おやって口癖ですか!?」
『パイナップルは嫌いだよ?』
「ちょ、話聞いてました!?てか急にパイナップルって何の話ー!?」
山本の姿が見えなくなりそれを追うべくリボーンは背を向けた。
ただしシャーッとさって行く彼はわざとらしく一枚のメモを落とす。都合良く綱吉のもとへひらひらとたどり着いた紙。
どんな内容かと覗けば女子マネ的軽〜い準備運動とハート付きの字が見えた。
全てのメニューに軽いとあるが軽くはない。
「準備運動がこれっー!?あの2人の修業はハイパースパルタ体育会系!?」
「負けてられないな」
「え」
パシッと綱吉から紙を奪ったのは闘志を燃やしたラル・ミルチ。
サーッと顔を青くした綱吉はギギギッと首を捻り後ろを向く。
「オレ達はヒバリの修業時間以外はVer.V.R.(バージョンボンゴレリング)の強化だ」
「え…オレ達って…」
「えではない!それでは入江正一を倒せんぞ!!Ver.V.R.の新しい必殺技なり戦略を手に入れるんだ!!」
「だからなんでラルさんが燃えてんのー!?指導おりるっていったのに〜!?」
こうなった彼女は誰にもとめられはしない。
「笑ってないで優羽さんからも何か言ってください!」
『おやって付けてたのは何となくだよ』
「それは今聞いてないってか、お茶目に言われても!」
『パイナップルは粉砕しなくちゃね』
「だからそのパイナップルって何ですかぁぁぁ!!」
「いいか沢田!気を抜くことは許さん!優羽、お前には沢田の修業に付き合ってもらうからな」
『なんで僕が』
折角久しぶりに綱吉で遊んでいたのにとラルを見れば彼女は怪しく笑った。
「術士のお前が沢田の修業相手になれば精神面の…いや、それよりも都合がいいことがある」
『楽しそうだね。いいよ、気が向いた』
その話を聞いていた綱吉は口をあけポカンとしている。
『綱吉』
クルリと彼に振り返り名を呼ぶと「へ?」と間抜けた声で返された。
『僕の修業は雲雀君より甘くないぞ』
綱吉はその場でサラサラと灰になっていった。