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「骸に動きがあったってどういうことですか!?」

ここは作戦室。部屋の中央には大きなテーブルがあり、それを囲むように草壁やラルを含む7人が座っている。半ば叫ぶように声を上げたのは綱吉だ。
僕は椅子に座らず壁に背を預け話を聞いていた。

「だってまだ骸は復讐者の牢獄に入ってるんじゃ…」

話の内容は骸のことだ。5年前に犬と千種、そしてクロームが復讐者の牢獄へ骸救出に向かった。
僕にも一言声をかけてくれれば良かったのに彼らは何も言わなかった。

しかし結局救出劇は失敗に終わった。その後3人は僕の前からも姿を消した。どうやら骸の指示によるものらしい。
そして半年ほど前に妙な噂が立った。

「妙な噂?」

目の前にあるノートパソコンから目を離しテーブルにひじを突いた山本はその話に興味を示した。

「骸が倒された、というものです」

発信元はミルフィオーレ。倒したのは第8部隊隊長グロ・キシニア。
数少ないAランクの強者と言われるが彼には残念な話だ。

『骸は生きてるよ』

しかも結構元気に。

「優羽さんの言うとおりです。イタリアの空港である男と接触しているクロームを捉えました」

ノートパソコンに写真が映される。ただ右腕を怪我しているようだ。

「ク…クローム生きてたんだ」

仲間の無事にほっと息をついた綱吉からは笑みがこぼれた。だが隼人は特に喜びを出すことはなく、気難しそうに考え込んだ。

「そうか。骸が死んじまってたらクロームは生きてられねーんだったな」

「だが今クロームは行方不明、ってことは今動きだしたのはこの密会していた男の方だな」

「!、さすがです…」

リボーンのあまりの鋭さに驚き草壁は眉をよせた。さすがはアルコバレーノと言ったところか。

「その通り雲雀はこの男が骸の何かだとふんでいます」

ただしこの男については情報がなく身元不明。
少なくとも僕たちの知らない人間だ。骸にもこの男の話は聞いていない。
まぁ、僕にとってそこまで気になる人間でもなければ害するものでもない。放っておけばいい。

「今更だけどよ、復讐者の牢獄に入ってたのおまえもだよな?」

「そう!そうだよ、優羽さんはどうして!?」

隼人の発言により皆の視線がこちらへと集中した。リボーンまでもが確かにそうだなと興味深気に見つめてくる。
特に答える気もなく愛想笑いをすると山本は無邪気に笑った。

「優羽なら脱獄も簡単そうなのな。普通じゃねーし」

『山本、君あとで僕と少し話そうか…』

「ああ!いいぜ?」

「身の危険に気づいて山本ー!!」

『そんな叫ばなくても。冗談だよ』

もう一回冗談だと言えば綱吉はビクビクしながら肩を落とした。

『何をそんなに怯えてるんだい?話をするだけだろう』

「おまえの胡散臭い笑顔に決まっている」

机に頬杖をついていたラルは即答したあとワザとか?と呟いた。

『胡散臭い…とは失礼だね。それより哲、まだ骸の手がかりあるんだろう?早くだしなよ』

「あ、はい…。(最近優羽さんが恭さんに似てきた気がする…)」

『ふふ…』

「!!、こ、この写真をご覧ください」

慌てた草壁は一枚の写真を出した。その写真にはヒバードが大きく写っている。

「それって…前に見せてもらったよね」

「何がわかるんだ…?」

『よく見て。他にも移ってる』

写真をじっと見ていた中、山本が眉をひそめた。

「でもよ…これフクロウだよな?」

「我々はこれに骸をもじってコードネームをつけました。ムクロウ…です」

写真に移っていたのはこちらを観察するように視線を向ける鳥。
大きさや形からしてフクロウだと推測できた。

「本当にこれが骸…!?」

「骸の何かだと思われます。雲雀はイタリア滞在中にこれの視線を何度か感じ確信したらしいです」

しかし問題はここから。
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