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『でも、そのムクロウは元々骸のじゃないんだ』

「どういうことだ?」

隼人は写真から僕に視線を移し首を小さく傾げる。

『ムクロウ…いやグーフォ・ディ・ピオッジャはグロ・キシニアの匣だよ』

「それってさっき骸を倒したって言った奴か?」

『そう、山本と同じ雨の波動をもつものさ』

「…それは本当か?」

ラルと草壁は少し驚いたようにノートパソコンに移ったグロ・キシニアの写真を見つめた。

『僕を誰だと思ってるの』

「…そうだったな。しかしよくこの男について調べたな。おまえの興味を引くような男に見えんが」

ラルって時々毒舌なような気がするのは僕だけなのだろうか。

『骸を倒したなんて面白いこと言うから』

「そんなことだろーと思ったぜ」

ラルと隼人は同時に溜め息をついた。

「でも何でそいつのフクロウが骸に…?」

『そんなの自分で考えてよ』

「てめっ勿体ぶるんじゃねぇよ!」

『はぁ。山本、君は?』

考えようとしない隼人に問うのをやめ山本に期待する。
顔を伏せながら考えている素振りをみせる彼は、少し間をおいてにこっと笑った。

「…あれか?憑依だったっけ」

『隼人と違って君は冷静だね』

頭を撫でながら褒めると照れくさそうに彼ははにかんだ。
隼人はブスッとした顔をして此方を睨んでくる。ふたりの間に挟まれた綱吉は慌てふためいていた。

「山本…明日の修業はいつもよりキツくするからな」

「えっ」

深く帽子を被ったリボーンの宣告に山本は顔を青くした。

そう言えばグロ・キシニアはどうなったのだろうか。
先ほどの問いには面白いと答えたが、本来の理由は違う。

例えクロームの体から実体化した骸であろうと骸に傷を負わせた者だ。確かに実力はある。
そして頭の回転も早く冷静だ。
言動が変態だと言うことは…忘れよう。

骸の倒せない相手ではない。
わざわざ彼を生かしたのは何か裏があるはずだ。
あのパイナップルのシナリオであると言うならば…そろそろ動くはず。



……さま
…ー…優羽様…



『…!』

頭に響いたよく知る声に驚きつつ、作戦室から出ていこうと歩き出した瞬間、壁に設置されたモニターと全てのパソコンの画面が切り替わった。
緑のモニターに赤い丸が映し出される。
疑う余地なし…彼女だ。

「何だジャンニーニ」

「一瞬ですがデータにない強いリングの反応が…黒曜ランド周辺です」

「黒曜ランド!?」

カタカタとキーボードを打つジャンニーニは電波妨害による誤表示の可能性を皆に伝えた。

「もう一度黒曜ランド周辺のデータを分析するんだ」

「了解しました!」

「新たな敵かもな」

リボーンの冷静な指示にジャンニーニはさらにキーボードを叩く。
ラルは一番可能性の高い言葉を選び呟くように言った。

「違う…きっと仲間だ。ボンゴレリングを持った…クロームかも…」

その言葉に隼人と山本は綱吉の様子をみた。
確信付いているのか綱吉は心配そうに画面を見つめている。
ふたりはただの可能性の話ではないと感じ、同じように画面を見つめた。

「やはりデータ不足ですね…レーダーに移った黒曜の反応が本物かどうか計りかねます」

「どうしよう…もしクロームならこんなことしてる場合じゃ…」

超直感とは凄いものだ。僕にとって憎いマフィアの血は、今彼にとって助けとなるものになっている。

「優羽、おまえ何処に行く気だ」

『君には関係ないよ』

出ていこうとする僕にラルが立ちふさがる。
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