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「今は勝手な行動をするな。敵だったらどうするつもりだ!」

『呼んでるから』

「何をふざけたことを言っている!派手に暴れれば増援を呼ばれる、ただではすまないぞ」

確かに彼女の言う通り敵はいるだろう。
ただ、骸のシナリオであるのならばクロームに関わってくる敵はグロ・キシニアで間違いない。
奴は頭がいい、単独で動いている可能性が高い。

「優羽さん…呼んでるってまさかクローム!?」

僕とラルの会話から気づいたのか綱吉が声をあげた。しかし一刻も早く黒曜ランドへ向かいたい、話している時間も惜しい。

『君はここで待っててね』

「でも…っ!」

いつも通り愛想笑いをしたが綱吉は引き下がらない。僕はコートを翻し彼と向き合いニッコリと笑った。

『しょうがない子だね』

「!、じゃあオレも…!」


『邪魔だよ』


破顔していた顔を瞬時に歪めた綱吉と彼等を残し、小さく笑いながらその場を後にした。







「なんだって!?」

広く薄暗い空間に入江正一の声が響きわたった。
今までパソコンの画面を見つめ深刻に考え事をしていた彼は頭を抱えた。

「一体どういうことだ!何があったんだ?」

チェロベッロから聞かされたのは衝撃的なものだった。
単独で黒曜ランドに向かった第8グリチネ隊隊長グロ・キシニアが戦闘により重傷を負ったのだ。幸いにも雨のマーレリングは無事。

「黒曜と言えば昔、六道骸が…」

「聞いた正チャン?」

「白蘭さん!?」

正一の目の前の画面が急に明るくなり、機械で通された声が鼓膜を刺激する。
画面に移ったのは白蘭。ミルフィオーレのボスだ。

「グロがやられたって気いたら正チャン、どんな顔するかと思って抜き打ちコール♪」

「白蘭サン!!ノーマル回線じゃ傍受されますよ!!」

楽しげに話す画面の向こうの男に正一は焦りをみせた。

「そん時は回線開きっぱなしの正チャンの責任ってことでひとつ」

「あ…あなたって人は!!でも…どうして黒曜ランドのこと僕には教えてくれなかったんですか!?」

知っていたなら教えて欲しかったと余裕の笑みをみせる白蘭に問うが、帰ってきたのは予想外の言葉だった。

「だって僕も知らなかったんだもん」

更に驚かされた正一は目を見開いた。

「さすがゲスだよねグロ君は。どーやって抜け駆けしたんだか」

話が長くなると思ったのか正一は保護回線にするよう白蘭に告げ回線を切った。

「どういうことでしょう」

正一の後ろにいたチェロベッロは特に表情を崩すことなく呟く。

「わからない!γと違ってグロは昨晩イタリアから来たばかりだぞ、白蘭サンがこういう嘘をつくとは思えないし…。とにかく面会する!」

そういうと正一は出入り口へと歩き出す。
しかし重傷により意識がはっきりしていないと言う。だが

「構うもんか!!」

正一は振り返らずこの場を後にした。
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