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決戦前日

ついに時がきた。



「いよいよだな」

明日はミルフィオーレ日本支部を叩く日。最終の打ち合わせとして僕ら大人組は現在ヒバリのアジトにいる。
部屋には畳独特の匂いが漂っていた。

「ヒバリ!明日は我ら年長組、いいとこ見せんとな!」

「いやだ」

気合いの入っている笹川は畳の上に体制を崩し座っている。隣にいるラルと草壁は正座だ。
ちなみに草壁と僕を除き、彼らは和服姿でいる。
いつも男勝りなラルが素直に女性らしく見えた。

「なんだと!?何故だヒバリ!」

「いやだと言ったらいやだ」

笹川の意気込みを即答で拒否したヒバリは静かにお茶を飲む。

「中坊の時から成長せん男め!!」

「落ち着いて下さい笹川さん!」

その態度が気に入らないと笹川は暴れ出す。しかし草壁がすぐに動きを封じた。

「放せー!!」

緊張感というものはこの広間には皆無だ。

「僕の目的は君達と群れるところにはない」

「くっ…!」

雲雀の目的は僕も知らない。特に知りたいとも思わないがこれが雲雀だ。やはりいくつになっても群れを嫌う。

「優羽!笑ってないでお前もなんか言ったらどうだ!」

怒りの矛先がこちらに向いた。
座らず壁に寄りかかっていた僕は腕組みをして考える素振りをしてみせる。

『一様僕も群れるところに目的はないね』

「なんだとっ!?おまえは沢田達の味方ではなかったのか!」

もちろんボンゴレの守護者としての自覚ならある。目の前の邪魔者は容赦なく消す予定だ。でも

『敵を倒すことには協力しよう、でも二の次。僕の目的は他にある』

その際に雲雀が小さく笑ったのを僕は見逃さなかった。

「僕には教えてくれるのかい?」

『さあね』

ムスッとなる雲雀に何故か笹川が勝ち誇った顔をした。

「オレには教えてくれるのだろう?」

『どうだろうね』

愛想笑いをすると今度は雲雀が勝ち誇った顔をした。
君達いったい何なんだい?子供かい?

「ラル・ミルチ、あなたは明日どうするのですか?」

問題はラルだ。草壁は葉っぱをくわえながら器用に話す。何故葉っぱなのかは聞かないことにしよう。

「無論出る。戦力は多いに越したことはないからな」

「その体調で無理をするな!!小僧だってアジトから出るのを断念しているのだぞ!!」

「死にたきゃ死ねばいいさ」

心配も何もない。人に無関心といってもいい程。
表情なにひとつ崩さない雲雀に笹川がまた吠える。

「ヒバリ!お前には思いやりの心はないのか!!」

「笹川さん!」

どちらかと言えば今死にそうなのは草壁だ。暴れる笹川を抑えるのは大変だろう。
ラルは特に雲雀の言葉を気にしていないのか冷静だ。

「もりあがってるな」

高い子供の声に襖を見ればリボーンがいた。
どうやら草壁に呼ばれていたのは僕らだけではないらしい。

「どーなんだ草壁、明日の突入作戦のシミュレーション結果ってのは出たのか?」

『シミュレーション結果って?』

そのことは聞いていない。草壁は目を伏せ、気難しそうに眉を顰めた。

「明日の作戦の成功確率をハイパーコンピューターで試算しました」

『へぇ、それで?』

「敵施設の規模から人数を割り出しミルフィオーレ構成員の平均戦闘力を入力し、他の要素をかけ合わせた結果…わずか0.0024%です」

あまりにも低い数字であるためか、いまいちピンとこなかった。

「これはラル・ミルチの戦力も含めて高く見積もった数字です…優羽さんを入れても1%には満たない」

『かなり低いね』

「ま、そんなもんだろうな」

隣にきたリボーンの頭を撫でる。今日は浴衣ですごく可愛いと褒めればニッと笑った。

「ちなみにヴァリアーは成功率が90%を超えなければミッションは行わないと聞く、もっともヴァリアークオリティを持つ彼らの基準ですがね」

「一流のプロってのはそういうもんだ、確実性を最優先とし無謀な賭けなどしない」

それは正しいこと。僕も昔は確実な仕事しか選ばなかった。
一流のプロというわけではないが、生活と金銭面の余裕が出てきた頃には弟の安全性も考えた仕事を選んだ。

「ふっ…奇跡でも起きなければ成功しない数字か。沢田達には黙っておけ、士気にかかわるぞ」


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