ME book
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それは雲ひとつない夜空に神々しく月が輝く夜でした。
まだ肌寒くコート無しでは屋敷の庭にすら出られませんが室内からでも確認できるほど美しいものです。
今頃ファントムハイヴ家の皆様もこの月を見ていらしているのでしょうか。
「酒だ、酒もってこーい!お、こいつは銘酒だな・・・おまえも飲め」
「ちょっトワ!言っとくけどオレ未成年だからね!絡んでくんなよ酔っ払い!」
「なんだよガキだな坊っちゃん。よし、ヒバリ坊っちゃんいくか?」
「えー僕呑めないよ、だって子供だもーん」
「クハハハハハ!これだからキミはいつまでたっても童貞なんですよ」
「は?死ねよおまえ、木に吊るした後じわじわキミのバナナ切れ味の悪いノコギリで切り落とすよ」
一同「ぎゃあああああああああ!!」
そういえば昔はいろんなことがありましたねセバスチャン。
無表情な坊ちゃんをどちらが早く笑わせることができるか、どちらがより艶のある声で坊ちゃんを誘惑することができるか。
あ、どちらが坊ちゃんの性教育をするか揉めたこともありましたっけ。
坊ちゃんの前で私を押し倒そうとした時は流石の私も驚きましたよ。危うく貴方を殺しかけましたし。
今ではそんな下らないことも懐かしくてしかたがありません。
「あれ?みんな何を隠してるんですかチェルちゃんさん」
「うふ、男同士仲良く食べる魔法のバナナだよアシュちゃん!」
「お前の説明なんか間違ってるから。正しく言うと男のう○い棒だからな」
「ぶっ!?黙れよ変なこと吹き込んでんじゃねぇよ27のおっさんが!果たすぞ!」
「ご、獄寺君酷い!!オレのことおっさんって…!!」
「ち、違うんです10代目ぇぇぇぇ!」
「ねぇそこの梅酒とって」
「随分呑むのなヒバリ、今日何杯目?」
「5杯目。キミは?」
「オレ8杯目」
「さっき呑めないとか言ってたじゃないですか!クフフ……無視をするな山本武!」
「え、オレ?」
明日も晴れるといいですね。そしたらまた昔話ができそうです。
『今宵はいい夢がみれそうですね』
「現実逃避はやめろ、悲しくなるだけだぞ」
それは言わない約束です
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