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【in黒曜】
『骸、千種は?』
「クフフ…千種ならさっきズタズタになって帰ってきましたよ」
『そう』
少年の姿があった。優羽だ。表情というものはなかった。だが落ち着きを取り戻していた。
「てっきり落ち込んでるかと思いましたけど」
『僕が?おかしなこと言うねナッポー』
「クハハ!いつもの優羽ですね」
『うん、武器しまってよ』
優羽は笑うが骸からは無理しているように見えてしまった。
それでも弱音はいっさい吐かない姿に何も言えなかった。
『それよりお客様だよ』
「客人ですか?」
優羽はクスッと笑い懐から手帳を取り出す。
『ボンゴレ10代目沢田綱吉、獄寺隼人、山本武、毒サソリビアンキ…。そしてアルコバレーノ』
それを聞いた骸はニヤリと笑う。ついに来たと。
「貴方は大丈夫なのですか、少々なれすぎたのでは?」
確かに優羽と雪兎は例え短い間でも彼らと過ごし、次第に親近感が湧いていたのかもしれない。
しかしそれはただふたりを苦しめるだけのものにしか過ぎない。例えふたりがそれを望んでいたとしても無駄なだけだ。
『雪兎はつらいだろうね。でも僕は違うよ』
そういい残しふらっと歩き出した。
「カンゲーすんよ山本武」
暗闇の中で何かが動いた。
「柿ピー寝たままでさー、命令ねーしやることねーし超ヒマだったの」
その声は楽しげだった。
「そこへわざわざオレのエモノがいらっしゃったんだもんな」
姿が次第に見えてくると黒曜の制服が現れる。
「超ハッピー」
城島犬はだらしなく舌を出し目の前の人間を挑発してみせる。
ここは動植物園の跡。土砂で埋まってしまった地下のようなところだ。その地下に運悪く落ちてしまった山本は獣が出てくると思っていたので拍子抜けしたようだったが出てきた自分の名に反応する。
上からは綱吉達が心配そうに穴を覗き込む。
「上の人達はお友達〜?首を洗って待っててねーん、順番に殺ってあげるから」
「ひいっこの人もヤバイ感じプンプンしてるー!!!」
見るからに危ない人がいるのだ。冷や汗が頬を伝う。
「ハハハハ」
「?」
しかし山本は急に笑い出した。犬も意味がわからないと首を傾げる。
「おまえ見かけによらず器用なんだな。さっきの死んだ犬の人形すげーリアルだったぜ!」
親指を立てながら言う山本。誰もが思った。彼はかなりの天然だと。
『リアルな人形か…本当にキミは面白いことを言うよね』
「「「!」」」
暗闇からの言葉に誰もが驚いた。
そこにいたのは…
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