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「ひぃぃ〜!まだ死にたくない〜!!」
「私がいくわ」
「ビアンキ!?」
ここで毒サソリとは流石に驚いた。まさかあの毒サソリの闘いを見ることができるなんて思ってなかったのだ。
ビアンキは綱吉達の前に立ちM・Mを軽く睨みつける。
「あんたまちがってるもの、大事なのはお金ではなく愛よ」
「はぁ?なんなのこの女ムカツク」
金ではなく愛か、僕には程遠い言葉だ。
金が大事と言うつもりはない、でも愛なんてわからないし知らない。
兄弟である雪兎は大切な人。その思いが愛なのかわからない。
そして…
「ひぎゃアアア!」
『!』
悲鳴に驚き顔を上げるとM・Mの持っていたクラリネットがポイズンクッキングにより溶けていた。いったい何が…
「千紫毒万紅!!」
毒サソリの新しい技らしい。触れたものがポイズンクッキングになる…妙に恐ろしい技だ。そしてM・Mはあっさり倒れてしまった。
『あんまり敵に回したくないかな、なんだか楽しめそうもないし。あの姉さん怖すぎ』
取り敢えずM・Mを運ばなければいけない。そう思い動くが‥
「あの強欲娘のM・Mがやられたのは実にいい気分だ」
「だっ誰!?」
「まぁまぁ落ち着いてこれを見て下さい。お友達が狙われてますよ」
奴はパソコンの画面を見せつける。
「京子ちゃん!!ハル!!」
ふたりの少女がうつし出されていた。
さらに映写機らしきもので壁にうつされた。しかもそのふたりにはぢぢ&じじ。双子の凶悪な連続殺人犯が今にも襲いかかろうとしている。
はっきり言って僕にとっては雑魚だ。
だが狙われているのは一般人の少女。太刀打ちできるわけがない。
『おい、生理的に受け付けないおまえ。弱者のくせに卑怯だ。帰れ』
「優羽さんではありませんか!ウジュジュジュ〜見るだけで興奮しますねぇ」
奴はバーズ…………
ぞわっ
『ぎゃあああ!!!!近寄るなああ!!』
「いつもの優羽さんじゃない!優羽さんをここまで壊れさせるなんて…」
「「「あいつこの世で一番気持ち悪い変態だ!」」」
みんながいっせいにバーズに指を差す。
「失礼な方達ですね。この私に変態と言って良いのは優羽さんだけですよ」
『いやぁああああああ!!!』
この世ではそれをショタコンという。僕はもう限界です。
「「「優羽(さん)が倒れたーー!!!」」」
意識は遠のいていった。
【雪兎side】
ボクは何をしているのだろう。
傷つけて傷つけて傷つけられて。
何がしたいんだろう。
優羽…骸達のいる世界は明るくて眩しいほどだった。
でも骸達はマフィアを憎み今まさに動き出している。ボクもマフィアを憎んでいる、憎んでいるけど…
ボク達兄弟は何も見つけられないまま生きてきた。邪魔なものを残らず消してただ生き続けた。死という恐怖から逃れるために暴れてきた。
復讐、それもひとつの方法だ。
でも復讐はしなかった。何でかな?
…綱吉達と出会ってしまったから、なのかな。ごめん骸、ボクは何も手が出せないみたいだ。
「どうしたの?」
『千種…』
後ろを向けば千種がいた。まだ痛々しい傷跡と血がにじんでいる包帯が千種の怪我が深いことを物語っている。
…なあ。もしボクがあの時千種をむかえに行かなかったらどうなってた?
山本が斬りかかってきたとき、もしそれが逆で千種が山本や獄寺…綱吉に襲いかかってたらボクはどうしたんだろう。
どっちについた?
かばった?
…わかんねーよ。
「何を迷ってるのかわからないけど…雪兎は雪兎のままでいればいいと思うよ」
『ボクがボクのまま…?』
「思ったまま…自分に素直でいて」
千種はそう真っ直ぐボクをみていた。
ボクはボクらしく…。
「帰るとこはここでしょ?」
『…そうだな』
そうだ、どんなことがあってもボクには帰る所がある。でも結局ボクは…
「骸様も心配してる…、戻ろ」
『そうだね、戻ろう』
ふたつの別れ道。
綱吉達が右ならば骸達は左。
ボクは…
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