T
□Z
1ページ/8ページ
「僕が優羽を守る」
彼からの言葉。
僕のココロは大きく揺らぐ
残酷だ。どうしてこんな時にそんな約束思い出すのさ?
僕の目の前で骸と雲雀が闘っている。しかしその姿は霞みよく見ることが出来ない。
何故だろう?拭っても拭っても止まることを知らないもの。そのよくわからない雫は僕を戸惑わせた。
「優羽さん…大丈夫ですか?」
沢田はいつの間にか僕の隣にいて心配そうに顔を覗きこんでいた。ああ、今僕は情けない顔をしているんだろう…。
今まで気づこうとしなかった人の優しさに僕の心は沈んでいく。その優しさは今の僕には痛いほど深いものだった。
『大丈夫だよ』
ホントは大丈夫なんかじゃなかった。この場から逃げ出したくて、不甲斐ない自分を嫌悪して何もかも忘れたかった。
いつの間にかあたりには桜。皮肉にも一番好きな花。この桜も今では嫌で仕方がない。
そしてこの空間に響いたのは何かが落ちる音と殴られた鈍い音。顔を上げれば骸が倒れていた。
『骸?』
骸が何で倒れているの?
ポツンと立っている雲雀を見てしまった。
「…帰ろう、優羽」
彼はそう微笑むとゆっくりその場に倒れてしまった。
何で笑った?何で?何で…そんな優しいのさ?
僕はどうしたらいいんだよ。
迷わないって決めたのに
僕は何をしたいんだよ…
これじゃあまるで
まるで…
僕が君から逃げてるみたいじゃないか…
.