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ドゴォ!!
激突音、そして壁が大きく壊れ破片が飛び散る。死ぬ気の炎でオーラを浄化した沢田。そして倒れる骸。
骸の敗北にふたりは立ち尽くしていた。
「終わったな」
「……。うん…」
リボーンの声に沢田の死ぬ気が解けいつもの沢田にもどった。
『骸…?』
優羽はただつらそうに顔を歪ませ倒れて動かない骸の姿を見ていた。
『……骸…っ!』
我に返った雪兎は骸のそばへ駆け寄り何度も名を呼ぶ。だがあの優しい返事はかえって来なかった。沢田はそれに気づき骸と雪兎に近づこうとするが
「近づくんじゃねぇびょん!!」
その声に足をとめた。
「マフィアが骸さんにさわんな!!雪兎にも優羽にも近づくんじゃねぇびょん!!」
『犬…千種…』
優羽は歩くことも出来ないほど力を失っているふたりに駆け寄る。どちらも出血がひどい。
「な、なんで…?なんでそこまで骸のために?君達は骸に憑依されて利用されていたんだぞ」
沢田は信じられないと言ったように動揺し始める。普通だったら理解など出来ないだろう。
『理解なんかして欲しくもない』
「え…?」
優羽の沈んだ声に沢田は思わず優羽に近づこうとしたが犬が「近づくな!」と叫んだため沢田は足を止めた。
「だいたいこれくらい…あの頃の苦しみに比べたら」
「あの頃…?」
「何があったんだ?言え」
リボーンの命令口調に犬は笑った。憎しみと悲しいが混ざり合った笑みを向ける。
「オレらは自分のファミリーに人体実験のモルモットにされてたんだよ」
「「!!」」
「やはりそうか、もしかしてと思ってはいたがお前達は禁弾の憑依弾を作ったエストラーネオファミリーの人間だな」
リボーンの言葉を聞いた優羽と雪兎は誰にもバレないように自嘲気味に笑いあう。
「禁弾?それはてめーらの都合でつけたんだろーが」
『おかげで迫害を受けました』
「…優羽…さん?」
『外に出れば容赦なく銃を向けられ撃ち殺される』
「おまえらも…エストラーネオファミリーなのか?」
優羽と雪兎はにっこり笑った。その笑顔はおぞましいほど綺麗なもの。誰もがみても見とれるものだ。
「そんな…っ!」
『信じられない?でも君達の言ってた化け物だよ』
リボーンと沢田は今やっと理解した。何故骸が化け物と言われ過剰に反応していたのか、あれほどまでに感情を露わにしていたのか。リボーンは自分の発言に軽く後悔した。
『特殊兵器の開発、力のない子供じゃ束になっても大人には勝てない、だから僕らを実験に使うんだ。ほらっ?ファミリーの子供は財産って言うだろ?』
『再び栄光を取り戻すため…そう聞かされてきたけど自由が欲しかった』
ふたりは懐かしそうに目を細めた。
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