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「クフフ…」

『元気そうだね』

意識放浪中、精神世界、幻想散歩をしていたら骸にあった。周りは木々や花が咲き乱れ人が来れない空間。ハッキリいって僕にも良くわからない空間だ。


ーー六道輪廻

その中のひとつと、輪廻とは別で失敗により偶然繋がった道を巡ったからこそ来れる世界。
ただそう思っている。

『見事に脱走は失敗だね、まぁ僕的には成功だけど』

「クフフフ…」

捕まった数日後、僕らは脱走をこころみたが厳重な警備や復讐者により犬と千種を逃がしたあと捕まった。いや、捕まりに行った。僕も犬達と逃げることは可能だがどうやら僕が居ては犬達は余計に追跡されるらしく骸と大人しく捕まった。
今思えば復讐者などあの時皆殺しにしてやれば良かったと思う。

『じっとしてるのツラいだろ?』

そう言う貴方もでは?と骸は苦笑する。風が心地よい、全てを忘れさせてしまうような日のあたたかさ。

「貴方も酷いですね、雪兎を置いてきてしまうなんて」

『でも後悔なんてしてないよ』

「クフフ…貴方から後悔なんて言葉聞いたことありませんね」

…いつになれば聞けるのでしょう?

骸から向けられる期待のような眼差しに有り得ないと首を振る。

『雪兎はボンゴレに預けたから大丈夫、みんながいろんなことに気づかせてくれるよ』

「仕方ないですね…。それが今は最善策のようですし我慢します」

骸も納得してくれたようだ。

「いつ貴方は此処を出るのです?」

『へぇ‥刹那道が使えるの知ってたんだね』

六道輪廻とは別で失敗により現れた道。復讐者達の牢獄の技術でもこの道のスキルを完璧に抑えることは出来なかったらしい。
だから逃げ出すことは可能だ。しかし今のままでは力不足、犬達を逃がすのにかなりの力を使った。僕の体力の回復を待つしかない。

『…時がきたらね』

思わず空を見上げる。青くて何処までも広がっているような空。白い雲に心が締め付けられるような気がした。手を伸ばしてみるが届きそうで届かない

「クフフフ…確か雲雀恭弥でしたね、彼には謝りました?」

『…うるさいな』

雲から目をそらし腕を組む。正直骸に考えていたこと当てられるなんて思っていなかった。

「おや、正直ではありませんね。気になるのでしょう?彼が」

『それはどういう意味?』

「クフフフ…どうでしょうね」


サァァァ…

『風向きが…かわった?』

頬を優しく撫でていた風は向きをかえる。それと同時に少女の声が聞こえてきた。

僕達はまだ終わってなどいなかったようだ。

この自然の中にポツンとある不自然なベット。そして白いシーツに眠る少女、彼女は…。

(私…死ぬんだ…何だか少しほっとしてる…やっと…終わる…)

「終わるものか…巡るばかりさ」

『それに死ぬには早すぎるよ』

(誰……?)

「おや?僕達の声が聞こえるのですか?」

「!」

少女は目を覚ましたようだ。

「クフフフ、散歩はしてみるものですね」

少女の黒髪がゆっくり揺れる。怯えた様子はないが驚いているようだ。これは運命の巡り合わせか、ただのイタズラなのだろうか。
でも…

「だ…誰?何者なの?」

骸は笑みを広げる。

「僕達と君は似た者同士かもしれない」

『「え……?」』

思わず僕も驚きの声を上げてしまった。そのことに骸は呆れたとでも言うように顔をしかめて僕を横目で見る。

「今更ですよ」

そんなこと言われても似ているなど思ったこともないし思うはずがない。ただ何かしらの共通点があるだけだ。
もしかしたらその時点で似た者同士なのかもしれないけど…。

『君の名前は?』

少女を見つめれば小さく呟く。

「凪…」

『言い名前だね』

そっと頭を撫でてやれば少女は小さく笑った。骸は何かを考えていたようで目を細めて頷く。どうやら骸も考えていたことは僕と同じようだ。

「凪…僕には君が必要です。いや、僕達に…でしょうか」

「必要…?」

『そう、今僕達は動けないんだ。だから君の力を借りたい』

死ぬなんていつでもできる、だから…

ーーー今は生きよう

凪は小さく頷いた。

自分を必要としてくれる人が現れた。
やっと…仲間ができる…と

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