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「そういうことでしたか。10代目…ありがたき幸せっス!!」

「(どうしよう!?めっさ喜んでるよ!!)」

ボクの横で肩をふるわせてリングの継承者となったことに喜びを感じている獄寺。ボクは肩をすくめ苦笑いした。
獄寺にとってボンゴレ10代目沢田綱吉の守護者となることはこの上ない喜びなのだろうが…ボクにとっては何もかも気に入らない。

初めてできた友達と呼べるものがマフィアとして成長していく姿を見ているなんてまっぴらごめんだ。でも何も口が出せない。何故?

「どーした雪兎?」

『別に、つーか軽々しくボクの名を呼ぶな跳ね馬』

「リボーン…雪兎が冷たい…」

「いわゆる同族嫌悪だな」

『ちげーよ』

腕を組んで背を向けた。その後話はリングの特徴へと流れる。

初代たちの個性に合わせたリングは、ボスの大空を染めあげる天候になぞらえられたようだ。

よって山本のリングはすべてを洗い流す恵みの村雨「雨のリング」
獄寺は荒々しく吹き荒れる疾風「嵐のリング」

何となくだが他の守護者に選ばれた人物は予測出来たが霧と雲がわからない。まあそれが判明するのも時間の問題だ。

「ちょっストーップ!!とにかくオレはいらないから!!」

その声にボクは考えることを一時停止させた。
綱吉は今までの話からして身の危険を感じたらしく、首にかけている鎖で繋げられたリングをはずそうと足掻いていた。

「あの…わりーんだけどさ…、オレも野球やるから指輪はつけねーなー」

いまいち話を理解していなかった山本も申し訳なさそうにリングを返そうとした。綱吉はホッとしたようだが獄寺は気に入らないようで山本を睨みつける。

「それに…そんなの持ってたら大変なんだって!昨日のロン毛がまた狙ってくるんだよ!?」

『(…ロン毛、確かにロン毛だけど)』

笑いを噛み殺していればボクの横で山本と獄寺はハッとリングを見つめた。綱吉はリングを手放すように言っているようだが逆効果と気づかないまま力説する。

「やばいでしょ!?しかも下手したらたった10日でだよ!!」

スクアーロが持っていったのは偽物。それに気づき日本に来るまで約10日。10日でどれだけ自分を磨けるのか、一刻の有余もない。
しかしだ、あのボスが偽物に気づかない訳がない、実際もっと時間は短くなるだろう。

「…やっぱこれもらってくわ、負けたまんまじゃいられねー質みてーだなオレ!」

「え!!?」

「オレも10日でこのリングに恥じないように生まれ変わって見せます!!次は奴をぶっとばします!」

「ちょっ獄寺君まで…!!」

山本と獄寺は医院を飛び出していってしまった。その姿を唖然として見ていた綱吉の顔は真っ青だ。ドアの閉まる音が静かに聞こえた。

「やるなーツナ、獄寺と山本は鍛える気マンマンになったみたいだぜ」

「え"ー!!そんなっシャレになんないって!!」

嬉しそうな跳ね馬をよそに綱吉は自分の実態に頭を抱え落ち込む。
結局ボクはただそれを見ているだけだった。

「10日間で残り4人の守護者達も鍛えねーとヴァリアーには勝てねーぞ、…もうふたりは例外だがな」

『もうふたりって何?』

「こっちの話だ、気にするな」

問いつめても無駄な気がしたボクは謎の発言を深く考えはしなかった。正しく言えば今は考える気にならなかっただけだ。

「誰なんだよあと4人って」

そう、ボクの気になっていた残りの守護者、厳密に約二名だが。綱吉もさぞかし気になっていただろう。
リボーンはその場で着替えだした。象の頭の形をしたかぶり物をかぶり気合いを入れている。

「パオパオ老師!!オレを鍛え直してくれるというのはまことか!!?」

「きょっ京子ちゃんのお兄さんー!!?」

『あははツナムンクの叫びー』

「待って下さいお兄さん!!状況わかってるんですか!?」

『え、シカト?』

「敵を迎え撃つのだろ!?相当緊迫してるらしいな!!」

『なあ…シカト?』

「昨日のできごと10日後のこと指輪の話も聞いたぞ…」

「え…」

『おーい綱吉ー』

「全部忘れたがな!!」

「たちまち意味ねー!!」

『…ボクは負けねー』


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