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白い猫を抱き帰宅した雪兎はソファーへと身を沈めた。どんな姿であろうと兄が帰ってきたのだ、喜びを表現するかのようにふわふわした生き物を抱きしめる。

『苦しいから放してくれないかな』

腕の中では嫌そうな声がするが気にしない。愛くるしい猫の姿、愛しい兄の声。
こんなこと滅多に出来ない、後悔しないように頬擦りをするがスルリと逃げてしまった。

『ところでなんで猫?他の人間には乗り移れなかったか?可愛いし抱きしめられるからそのままでいいけどさ、だってボク優羽のこと大好きだし』

『目立っては情報が集められないだろう』

『そっか、流石優羽、愛してるよ!』

『さて…これからどうしたものか』

何時にも増してバカなことを言う弟にため息を吐きたいところだが放って置くことにした。そもそも何か勘違いしていないだろうか。
持っているスキルは地獄道、幻覚では人に乗り移ることは出来ない。
実際この猫の身体を使っているのだが骸の力を借りている状態だ、長続きはしない。

『あ、そうだ。今少し面白いことが…』

雪兎が思い出したように笑った瞬間だった。彼の言葉を遮るように来客を知らせるチャイムが鳴る。
しょうがないなと腰を上げ玄関へと向かった。






「珀槻優羽と珀槻雪兎の自宅、それで間違いないな」

開けたドアの隙間から聞こえたものは男の声った。

「おまえらと話がしたい」

黒光りするスーツと無精髭が視界に入った瞬間雪兎は何事もなかったかのようにパタンと扉を閉める。

「な、おい話を聞け!」

『人違いですーお帰りくださいませー』

「んなわけあるか表札に書いてあるだろ!あ、ほらオレはツナ!ツナの父さん!」

ドンドンとドアを叩く音に耳を塞ぐが叫ぶ声が聞こえてくる。近所迷惑で訴えられたらどうしてくれるんだ。
だからなんだよ、帰れよオッサン。
しかし次の言葉にそうも言えれなくなった。

「ボンゴレの守護者について…知りたくはないか?」

これは罠か、それとも本当に話すつもりか。好奇心に負け雪兎はドアを開ける。

『じっくり聞かせてもらおうか、沢田家光』

男はニッと笑った。

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