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『わざわざ呼び出して一体何のようだってんだよ、まだ俺たち夕食とってないんだけど』
機械音をたてながら自動で動くドアを一別し雪兎は恨めしそうに目の前にある広い空間を見回した。
『そう言わずに少しぐらい付き合ってあげたら?夕食は逃げないよ』
その後ろを歩いていた兄の優羽は目を細めクスクスと笑うと通路に設置された自販機のボタンを押す。
しかしもちろんのこと兄も弟と同じように改まってなんの話だと思っていた。
現在綱吉たちは食事中だ。そしてそこにはふたりの食事が用意されていることだろう。
そんな時間に何故呼び出されたのだろうか。食事の後でも十二分に時間があるではないか。
これでもし大した話ではなかったらどうしてくれよう…
「腹減ったー」と何度も言う弟を笑顔で見ている優羽の顔には「黙れよ。うるせーな」なんて書いてあるのかもしれない。
空腹?な兄は最終的にこれからについての重要な話なのだと結論づける。
ガコンと音をたて出てきた缶コーヒーを一口飲むと甘ったるい匂いが広がった。
それに刺激されたか雪兎はぐーっと鳴る腹を手で押さえ耐える。
『あ、だめだ。イライラしてきた』
『コーヒー飲むかい?それとも山本から牛乳もらってこようかな』
『…牛乳は嫌い。コーヒー牛乳とかイチゴ牛乳なら喜んで飲むよ』
『だから身長伸びないんだね』
『優羽もね』
『今晩は十分気をつけてね。寝込みを襲われたら大変だ…そうだね、とくに牛乳に気をつけるといいと思うよ』
今日は外で野宿でもした方が安全かもしれない。あやしく笑う兄に雪兎は身震いし顔を真っ青にした。
『ところでそこの2対8の前髪の人』
優羽の視線の先にあったのは丸まった背中と独特の髪型にセットされた頭。それを指さした兄に弟は焦ってその指を下させる。
『…髪型にはふれないでおいてよ、せっかく我慢してたのに!』
思い出し笑いかのように肩を震わす失礼な弟。
心なしかぐったりとしたその背中がぐるっと方向を変え兄弟から遠ざかる。くの字に曲げていた足をのばし立ち上がった男は目の前で口論を繰り広げる彼らの姿をみて苦笑した。
『さて、お話お聞きしますよ』
優羽は愛想笑いを浮かべ首を軽くかしげる。
あくまでも自分のペースを貫く彼に対し諦めたというように肩を落としたジャンニ−ニは浅いため息を吐いた。
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