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「…実はあなた方にこれを乗りこなして頂きたいんです」
ジャンニ−ニが背を向けていたモノに手を置き瞳を輝かせると同時に雪兎も同じく瞳を輝かせ顔をほころばせた。
『スゲー!バイク?バイク乗っちゃっていいの?』
彼の後ろにあったのは真新しいバイク。ボディは絵の具で塗りつぶしたような漆黒で己を強く主張しているようだった。
さらに部屋のライトに照らされ黒光りする。
思わずカッコイイと漏らす雪兎のテンションは最高潮、彼は満面の笑みでバイクに駆け寄ろうとした。
しかし『だめ』と短く発した優羽に首根っこを掴まれくぐもった声を漏らし雪兎はカクンと俯く。
弟の暴走を速やかに止めた兄は爽やかに笑った。服で首が締まったままぐったりする弟を気にすることなく彼は落ち着いた口ぶりで話し始める。
『これからの戦いにコレが必要だと言うことは何となくわかりました。…しかしどうせなら知ってることを全て吐いて頂こうと思いましてね』
その方が早いでしょう?
ジャンニーニの目の先に何かが突き付けられた。
優羽の右手に握られた棒の先端は鋭く尖り鈍く光る。
ジャンニーニ自身がそれを槍だと理解する頃には全身から汗が噴き出し体が小刻みに揺れていた。
その行動に驚いた雪兎は慌ててジャンニーニに動くなと告げてから兄の腕を掴む。
『どうしたの優羽!?こ…ここまでしなくたっていいでしょ?』
何故こんなことをするのかわからない。そう言った不安げに揺れる彼の瞳に優羽は静かに目を伏せゆっくり腕をおろした。
幻覚で作り上げた槍はパキッと氷付き粉々に砕け散り消える。ジャンニーニはほっと息をつき雪兎に礼を言うが、雪兎は兄を見つめたままだった。
『…仕方ないね。ここは他のトレーニングルームとは違うようだけど一体なんの部屋なんです?』
「…え!?あ、はい!ここは「ここはこの時代のボンゴレ10代目のコレクションルームのひとつだと聞いた」
声に声が重なりジャンニーニは瞬きした。
呆然としている彼の視線をたどりゆっくりと兄弟は後ろを振り返る。
深緑のツナギの男が右手をあげ「どうも」と短く挨拶をした。
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