極若物語!?
□一訓、あぁ、ありがちなそれね。
1ページ/4ページ
ちゅんちゅんと雀がさえずる鳴き声。
鹿威しが奏でる小気味よい音。
ドタドタと響く足音。
それらの音源により私は完全に覚醒する。
拍手連載 極若物語!?
一訓、あぁ、ありがちなそれね。
カウントダウン開始
――三、二、一。
「――若!!
お目覚めの時間ですぜ」
男の少々ドスの効いた野太い声が私に起床を促す。
これが私の毎朝の習慣。
いや、もはや慣習とでも言っておこう。
「先に行っておけ。
着替えて直ぐに行く」
只でさえアルトトーンな声を低くしながら障子越しの男に声をかけると「それでは失礼しやす!」と男が断りをいれ、来たときと同様にドスドスと耳障りな音をたてて遠ざかったのを確認して私はため息をついた。
もぞもぞとやたら広い畳に敷かれた蒲団から這い出し、頭の上に用意をしてあった衣類をひっつかむ。
それから夜着として着用していた着流しを無造作に脱ぎ捨てると、まあ歳相応な女の証を無理やりサラシで押しつぶす。
これも私の習慣……いや、慣習だ。
“私”から“俺”へのシフト。
若しくはチェンジ。
初めまして、俺の名前は鷹司灰威斗。
気付いている人も多いだろうが、俺の家はその道を極めている。
道、と言っても勿論お茶やお花などの静粛としたものではない。
――本当に平たく言えば極道って奴だ。
その名も七星組。
→→