極若物語!?
□四訓、お嬢様は……!?
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錆び付いたノブを回し勢いよく押すと、冷たい風が体を叩いた。
拍手連載、極若物語!?
第四訓、お嬢様は……!?
「あら灰威斗、意外と早かったのね」
ドアを開けると同時にフェンス越しにドアとは反対方向に有る海を眺めていたらしい少女が振り向き、僅かに驚いた素振りをみせた。
対して俺はここに来る原因を作った目の前の少女に近づきながら注意の言葉を発した。
「……慧、可哀想だからあんな真面目ちゃんに俺を呼びに来させるなといつも言ってるだろ?
……可哀想に怯えて走って逃げてったぞ。
……つかそもそも呼び出すなよ、面倒くさい。
お前の方がこっちに……」
そこまで勢いで言って、はっとした。
……ヤバい。
これは果てしなくやばい。
眼前の少女――慧はこちらが笑えない笑みを浮かべながら近付き、俺の両頬を片手で掴むとタコのようになった俺の顔に自らの顔を近づけてにこりと笑んだ。
……勿論笑えない笑みで。
これは完璧俺のミスだ。
慧は忍属性で、有無を言わさない笑みで人々を翻弄する事をすっかり忘れていた。
「す、すふぁん、ふぉれがふぁるかった」
謝罪の言葉は意味不明な発音となって、虚しく慧の目前で墜落した。
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