極若物語!?

□八訓、馬鹿でよかった。鈍くてよかった。
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「おもしろいな、お前。
気に入った」


ニヤリと笑うその笑顔……。
まさか、だよな?



拍手連載、極若物語!?
第八訓、馬鹿でよかった。鈍くてよかった。




現在地、七星組本邸北斗邸付近の道路。
お付き、無し。

電柱にビクビクし、身を隠しながら進む私はかなりの不審者であろう。
自分でも自覚している。
だが、もう少し自宅から離れるまで誰かに会うことは憚られる。
まして、私が“灰威斗”であるということがバレるなんてことになれば一大事だ。
そうでないと、これから七星組は揉めに揉めるだろうし、大変な思いをして忍を説きふせ、宗則を撒いてきた私の労力が水の泡だ。
……考えたただけで窶れそうだ……。

そんな思考の中で私は鬱陶しく顔に落ちてきた黒く長い髪の毛を払った。
慣れずに歩きにくいヒールに戸惑いながらも目的地を目指して先を急ぐ。
……それでもノロノロだが。
汗とは別に、違った種類の水滴が体中から吹き出しそうだ。

……顔がぐちゃぐちゃになっていないことを切に願う。


さて、若干気付いていらっしゃる方もおられるとは思いますが、七星組の若頭にして年少組総轄鷹司灰威斗十七歳、私現在女装しております。


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