エファーラン戦記U
□エファーラン戦記 第54話〜癒し?〜
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何か変な事を夢の中で言っていなかったかなと考えていると、急にセイムがその場に膝をついた。
「ユイ様・・・今回、何のお役にも立てずに申し訳ありませんでした。ユイ様が苦しんで居られるのに何も出来ずに―――でも、それでも俺はユイ様のお傍に居たい・・・何があっても貴女様の傍に・・・。こんな俺では頼りにならないと思いますけど、俺もっと強くなります―――だから―――・・・・・・」
周りの雑音など一切耳に目に入らず、ただ真剣に私の目を見て、決意する姿は高潔でいて凛々しい。
死地に赴く騎士のように気高く、また揺るぎない覚悟を秘めており、今までとは少し違う男性の顔をしたセイムが居た。
「・・セイム―――・・・」
その表情からは目がそらせず、私の胸が大きく高鳴る。
そんな私たちの間に入ろうとトオヤが口を出そうとしたが、その前にレイリンがピシャリと言った。
「さぁ皆様。ユイ様はまだ起きたばかりで非常に疲れていらっしゃいます。また面会は後日にして頂けますか?」
と口では言っているが、すでに体は皆を追い出すように扉へと急き立てている。
「ぅわッッ!?ちょ、ちょっとレイリン、せ・・セイちゃんが残ってるじゃないかッ?」
トオヤは抵抗しているが、他の面々はあきらめているのか大人しく部屋を後にした。
「お兄様も早く出て行ってくださいませ。また明日の昼過ぎからでしたら面会は許可いたしますわ。」
両手で押し出すように、最後に残っていたトオヤを退出すると、レイリンもそのまま部屋を出ていく。
「ユイ様、私少し厨房に用がありますので席を外します。セイム様、私が戻るまでユイ様をお願いしますね。」
レイリンはセイムの返事を聞くまでもなく、決定事項として伝えると、そのまま扉を閉めてしまった。