エファーラン戦記U

□エファーラン戦記 第42話〜生誕会〜
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入れ違いにクラヴィが入室してきた、手には書類の束が握られている。

「今終わった所ですね、それでは休憩なさいますか?」
「あァ〜・・・・・・ううん、大丈夫。それが細かい報告書?」

私が座るように促すと、クラヴィは一礼し着席し、書類を机に広げた。

「はい、こちらが過去五年の最終税務報告書になります。毎年、平均25%ほどの赤字が出ております。」

書類の図は確かに、100%のラインを大きく超えている。

「国は収入をどういったものに使っているの?」
「はい、主な使途としては、軍事費・・これは騎士団や遠征などにかかる費用です。貴族に払われる恩酬、城の維持費、王族の私費。本当に大きくですが、ざっと分けるとこれらになります。」

大きな円グラフを見ると、軍事費が大体40%、貴族報酬が25%、維持費が10%、私費が25%になっている。

「・・・・――――――これ・・・私費って・・・?」

国家予算の1/4を占めている。
これがなければ、赤字ではなくなるのではないだろう?

「それは・・・・王族の方が有する費用です。」

なんとなく、言いにくそうなクラヴィは、きっと赤字の原因も何となくわかっているのだろう。

「つまり・・・王族のお給料みたいなもの?」
「・・・・・・そうですね。」
「でも、王族といっても今はお父さんと、お母さんしかいないんじゃない?」
「いえ、この王族には側妃も含まれますので―――――ロザリナ様も該当します。」
「・・・彼女も―――――?」

度々登場する彼女の名前―――――これは何を意味しているのだろうか?

「ごめん、話変わるんだけど・・・ロザリナさんとロイズは仲がいいの?」
「そうですね・・・ロザリナ様は疎んでらっしゃったと聞いております。前にも言った通り、ロイズの行動は目に余るものがありますので、品格を重んじるロザリナ様には考えられないのでしょう。」
「そっか・・・・・。」

(貴族制度を作ったのもロザリナさん、襲われた貴族はロザリナさんが嫌っていた甥、多額の税金を使っているのもロザリナさん・・・・。)

偶然の一致ならばいいのだが――――。









その後も税金の流れについてクラヴィから学び、その日の授業を終えた。





そして、夜会の準備――――。
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