エファーラン戦記U

□エファーラン戦記 第48話〜別離〜
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「ユイ様。今日はあまり勉学に身が入られていませんね。」

翌日のクラヴィの授業中、ぼんやりする私にクラヴィが一言いった。

「へっ・・・?あ・・ぁ―――ごめん。」

その返事すら上の空といった私の様子に、クラヴィは開いていた本を閉じ、私の前に座る。

「何か考え事ですか?」
「ん〜・・・・何か、気持ちがソワソワする・・ん、だよね。」

落ち着かないまま、アールにもらったネックレスの鎖を指に絡ませた。
胸元でしゃらしゃらと鳴るのが耳に心地いい。

「落ち着かない―――ですか。」
「何でだろう・・・・。」

その時、指に絡んだままの鎖がプツリと千切れた。


カツーン―――・・・


と、高い音ともにペンダントとピアスが落ちる。
あっ―――と思ったときには、私の手をすり抜けテーブルにぶつかった。

(・・ずいぶん簡単に切れるんだなぁ・・・)

強く引っ張ったわけでもないのにと、不思議に思いながら落ちた二つを拾い上げようとした時―――

「ユイッッ―――!!」

バーン!と扉を思い切りあけてヴァインが部屋に入ってきた。

「―――ッ!?な、何・・・」
「いいからッッ!早く来いッ!」

何の用?と問う間もなく腕を引かれる。

「ヴァイン殿?どちらに―――?」

私達を追ってクラヴィがついてきた。

「―――・・・・・。」

しかし、ヴァインはこちらの疑問には何も答えずただ私の腕を引っ張っていく。
後ろから僅かに見える表情は、非常に険しくいつもの飄々とした雰囲気は一切無い。

(何か―――あったのかな・・・?)

嫌な予感がする。
ドクン―――と心臓が激しく脈打つのがわかった。

ヴァインは何度も通った事のある広間を抜け、ある一点を目指し歩いていく。

(この先って――――――・・・)
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