エファーラン戦記U

□エファーラン戦記 第49話〜閉ざされた過去〜
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(ふわふわしてる・・・・)

気づけばそこは濃い霧が立ち込める薄暗い空間だった。
いや・・・いつ気づいたのかもよくわからなくて、ここがどこかさえわからない。

「・・・私――――?」

真っ黒の地面にくすんだ天井、霧のようなもやが常に動いている。

「――――・・私・・・何してたんだっけ――――?」

何も思い出せない―――というより何も考えたくない。
体も動かしたくないし、呼吸するのも面倒くさい。

私はその世界に大の字に寝転がり、ぼんやりと上を見上げた。

(重苦しい世界・・・――――)

この世界は全てが死んでいるように感じる――――でも、それは一体何と比べてだろう?
頭の中で何かがチカチカしている。
警鐘のように何かが鳴り響いている。

「――――私・・・・」

頭に手をあて考えるが、何かが出そうで出ない。
何か大切な事を忘れているような気がするのに、思い出せない。

考えれば考えるほど警鐘は大きくなり、それはズキズキと痛みに変わっていく。

「――――ッッツゥ――――」

痛みが最高潮に達した時、不意に聞きなれた声が耳に届いた。

『そうやって、また忘れるの?』
「――――ッ!?」

痛みに堪えながらもその声する方を見ると、そこには――――

「・・・・え・・?――――わ・・たし・・?」

ジーパンにTシャツ。
地球に居た頃よくしていた姿の私が居た。

『そう。唯よ。』

まさに鏡を前にしているような感じだ。
ただ、今の私の服装は白いワンピースのような夜着に髪は下ろしているが。

「―――・・ん、で・・?これは、ゆ・・め?」
『夢?貴女は都合が悪くなると全部夢のせいにするの?』
「都合が悪くなんて、なってない。」
『本当に?全部忘れてるくせに?』

この唯は自分とは思えないぐらい、人を馬鹿にしたように笑う。
その嘲笑にまた頭痛が酷くなった。

(一体何・・?本当に夢じゃないの・・?)

『何度も言っているでしょう?夢じゃないと・・』
「――――!?何で・・?」
『私は唯だもの。ユイの考えてることなんてお見通し。さっきからずっと頭が痛いでしょう?夢に痛みなんて――――ないのに。』

その言葉にようやくハッとした。
確かに夢でこんなに頭痛がするはずがない。
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