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□コトノハアソビ
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朝、教室に着いたら、





「何コレ」





机の上に、およそ予測不可能な物体が載っていた。





「なにに見える?」



と、水谷がソレをひらひらさせる。





「…酢」





酢だ。どう見ても。

ショーユ入れみたいなのに入ってる。
食卓酢ってヤツだ。
ウチにもある。



「正解〜!…んじゃ、コレは?」



と言って次は、おもむろにノートを取り出して、広げて見せる。
1ページまるまるに、でかでかと描かれたそれは、





「…木?」





木を描け、と言われたらほとんどの人間が描くような木だ。
幹の上に、もくもくした雲みたいな葉っぱが乗ってるヤツ。



「木だろ」



と水谷を見たら、
肩を震わせて机に突っ伏していた。



「なんだよ」


「…なんでもない、阿部、コレなんだっけ」


「だから酢」


「じゃコレは?」


「木」



言った途端水谷は、わー…と妙な声を出して、また突っ伏した。





「なんだよ!」





酢と、ノートに描いた木。

なんだよ、ワケわかんねーな。


酢と、





……。







木?




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