「One piece」

□・「添い寝して」
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「だまれ、このグル眉っ!」
「うるせぇ、マリモならマリモらしく光合成でもしてろっ!」
「んだとコラァ!」

ゾロとサンジが縦横無尽に駆け回り技の応酬を繰り広げている、ある晴れた日の午後。
ゴーイングメリー号は暢気に波間を進んでいた。
何かと一言多いサンジと、すぐにブチ切れるゾロが接触するとゴーイングメリー号はある意味戦場と化す。
船長であるルフィは船首に座って二人の喧嘩を大笑いで楽しんでいるし、ウソップは踏み台や標的にされないよう隅に隠れて小さくなっていた。医者であるチョッパーは救急箱を片手にオロオロと二人を見守るだけで、ナミはうんざりとした表情で溜息をついた。
「どうしてこう、二人は仲が悪いのかしら」
イヤになっちゃうわぁ、と心底呆れた口振りで肩を落とす。
そこにチョッパーはトコトコと駆けて来て、
「えっ?アイツら仲悪いのか?」
鼻をヒクヒクさせながらナミを見上げた。
ナミはチョッパーの視線と合わせるように、その場に屈むと再び深い吐息を洩らし、
「チョッパー、あなたの作った薬で何とか出来ない?」
「ええっ、仲良くさせる薬なんて知らないぞ!」
「惚れ薬でも何でもあるでしょー?もうホントどうにかしてって感じ。これじゃ煩くて読書も出来やしないわ」
「惚れっ、惚れ薬ってアイツら男同士だぞ!」
「男同士でも何でも知ったこっちゃないわ」
二人が怪しい相談をしている処にウソップがコソコソと話に加わった。
「でもよう、アイツら夜は結構仲良しだぞ」
口元に手を翳してヒソヒソと話す。
「ナミは知らないかもしれないが、男は全員船室で寝るからな。俺とルフィはハンモックで眠る事が多いが、あの二人は床でゴロ寝してる」
「あっ、そうだ!俺も医学書読んでるうちに眠った時に、気付いたら二人仲良く眠ってたぞ!」
チョッパーがウソップに同意の声を上げる。
ナミは二人の話に耳を傾けながらも、
「ちょっと、仲が良いってどういう事よ。それに私は昼間に静かにして欲しいの!」
「で、でもよう。ナミならコレを利用してアイツらを静かにさせる事が出来るんじゃねーかなぁ」
ウソップはそう言いながら肩掛け鞄の中から一枚の写真を取り出した。
それをナミに渡す。
「面白いから撮っておいたんだ」
「へえ、なに?」
興味を惹かれてナミは写真に視線を落とすと、思わず目を見開いた。
「ちょっ、これ、いいわぁ!さっそく使わせてもらうわね!ちょっとアンタ達!」
ナミはそう告げると、すぐさま仁王立ちしてゾロとサンジに呼び掛ける。
「はぁ〜い、ナミさん。今日のオヤツはブッシュドノエルだよ〜」
さすがにサンジの反応が早く、瞳をハートマークに変化させて踊るようにナミの元へ。
ゾロは目の前から消えたサンジに舌打ちし、抜いていた刀を一振り。呼吸を整えつつ歩み寄り髪を掻きながら面倒そうな口ぶりで「何だよ」とナミにガンを飛ばすも、
「この写真を全世界にバラ撒かれたくなかったら、当分喧嘩は止めることね」
ぐふふーん、と魔女のような怪しい笑みを浮かべて、二人の目の前に見せられた写真には、身体の位置は上下逆さまとなっているものの、うまい具合に二人の頭が間近に迫っている構図で、しかもゾロはサンジに腕枕、その腕枕で気持ち良さそうに眠っているサンジの姿であった。
「んがっ!」
「うごっ!」
どちらがどちらの声なのかナミは気にせず、それどころか、
「二人がチューしてる写真もあるんだからねっ」
ハッタリと嘘だけで生きて来たナミの言い様に、二人は目を血走らせ顎を取り落とさんばかりに驚き、しばらくは暗い影を引き摺るようにして過ごしていたと言う。


END


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アニメ131話に触発され。
二人が仲良く眠っています

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