まじめ
□それでも知らないふりをして
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「俺と三橋、付き合う事になったから」
それでも知らないふりをして
阿部のその一言で、普段から騒がしい部室はさらに騒がしくなった。
「よかったな三橋!まぁ俺はゲンミツに二人は付き合うと思ってたけどね!」
田島がそう言うと、周りにいた泉や花井達もうんうんと、頷いていた。
俺はちらっと阿部と三橋を盗み見た。三橋は真っ赤な顔をして、いつも以上に挙動不審だ。
その時、
俺は見てしまった。
震えている三橋の手を阿部が、机の陰できゅっ、と握ったのを。
「………」
ズキン。
と、胸が痛んだ。
「栄口?ど−かした?」
気が付くと水谷が俺の顔を覗きこんでいた。
「あ、なんでもないよ。いや−、二人お似合いだなぁと思ってさ!」
俺が答えると、
「だよね−!」
水谷は、いつもどうりへらっと笑って田島達の方へ行ってしまった。
みんなが阿部と三橋に何か言っているようだったけど、俺の耳には何も聞こえてこなかった。
帰り道、いつもの様にみんなでコンビニに行った。
何も食べる気になれず俺は一人、みんなの輪から外れて隅の方に座っていた。
聞こうとはしていないけど、やはり聞こえてきてしまう。
「あ、阿部くん!俺のアイス、た、食べ、るっ?」
「おぉ、サンキュ」
「へへ…!」
「ラブラブかよかよ!」
「「あはははっ!」」
「じゃ−なぁ!阿部、三橋ぃ!」
「三橋!阿部に襲われね−ように気を付けろよ!」
田島と泉が阿部と三橋を冷やかす。
「おっ、襲われっ…!」
「襲わね−よ!いくぞ三橋!」
「う、うん!」
「ばいばい、阿部、三橋」
「おぅ、栄口またな。」
「栄口、くん!また、明日っ!」
阿部は、三橋と帰って行った。
「あ、俺こっちだから。」
「お−、栄口じゃあな!」
「栄口まったなぁ−!」
みんなと手を振って別れた。
ふと、俺は立ち止まった。
そっか。俺知ってたじゃないか。
阿部が時々、愛しそうに三橋を見つめるのも。
三橋が阿部に話しかけられると異常に舞い上がってたのも。
全部、
全部、
俺、知ってた。
「っ、阿部……。」
阿部、だいすき。
でも俺は、阿部が幸せなら。
それだけでいいんだ。
だからこの気持ちも知らないふり、できるから。
阿部、だいすき。
*あとがき*
全然、思いどうりに書けなかった…。でも栄口大好き!
今度はもっとがんばって幸せな話書くから!
読んで下さってありがとうございました!
続編とか書きたい\(^O^)/