玉子と子ぎつね

□しっぽとり
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 今日の五年生実技は「尻尾捕り」

 丸一日を使った、忍術・武器・罠使用可の特別ルール+罰ゲーム付きです。



(……さーて)

 三郎は大きな木の根元にある茂みに身を潜めていました。

(個人戦は久しぶりだな。雷蔵がいればもっと早く片付くのになぁ)


 日は高くなり、そろそろお昼。尻尾を捕られた者もぱらぱら出始めた様です。


(雷蔵にはウサギの尻尾の方が似合うのになぁ)

 帯に挟んだふわふわの太い尻尾を見詰めました。用具委員お手製です。

(なんかこれ……。犬じゃないし、ほら、丁度あんな感じの……

 誰かいる!?)


 同じ茂みの先に、同じ様な尻尾があります!

(……気付いてない。チャンス!)

「……」

 そーっと近づいて……


(捕った!)


「こーん!!」

 押さえた尻尾の根本から、きつねが飛び上がりました!

「えっ! 悪いっ」

 ビックリしすぎてひっくり返っています。

「……茶太郎?」
「コン」


 びくびく


「あー、悪かった。ごめん。そんな顔すんなよー」

(こりゃ はちやんに怒られる……か?)

「こーん」

 三郎の心配なんてどこ吹く風。茶太郎は自分と同じ様な尻尾に興味津々なご様子。

「あ、これ? いーだろー。雷蔵とお揃いなんだ!」
「こん!」
「あぁ、茶太郎もお揃いだな」
「ココン。ココンこ、コーン」
「そうそう、八左ヱ門とも一緒。そういや茶太郎昼食べた?」
「コーン」
「んじゃ一緒に食べるか。尻尾掴んだお詫びに唐揚げあるぞー」
「コンコン!!」




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