book
□Her equation
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「ヒバードとムクロウどっちが好き」
応接室でイタリア語の教本を読んでいたクロームに、藪から棒に雲雀が尋ねた。
「どっちも大好き」
とクロームが返答すると、これは仕方ないか、と雲雀は更に質問を続ける。
「チョコレートとクッキーだったら?」
「チョコレート」
「犬と猫」
「猫」
「僕と骸は?」
「…………。」
テンポ良く進んでいた応対が途絶えた。
「…どっちも…」
「それは無し」
ぴしゃりと雲雀がクロームの言わんといていることを遮る。
雲雀はうぅ、と呻くクロームを訝しげに見ていたが、彼女が一向に答えを出せそうにないので、質問を変えた。
「ヒバードと僕だったら?」
「ヒバード」
迷いのない答えに唖然とする。
軽く放心状態の雲雀に、クロームが声をかけた。
「だってどっちが「好き」かでしょ?」
一見追い討ちとも取れる発言だが、クロームにはちゃんとした意図があった。