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□Or is it me?
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「おかえり」
仕事で疲れきった体で、殆ど体当たりと言っていい程度で家の扉を押し開けると、愛しい旦那様がめったに見せない満面の笑顔をしたためて佇んでいた。
「ご飯出来てる」
それともお風呂?と新妻のような至れり尽くせりなことを言ってくれる。
その上、私の手を取って、コートまで預かってくれる、珍しく紳士的なあなた。
明日は雨かしら、と頭の片隅で思ったのは口にしないで、ありがと、と全部ひっくるめてお礼を言うと、先ほどまでのジェントルはどこに行ったのやら、
「ここまでやったんだから、今日の夜、わかってるよね」
「…って言われたところで目が覚めたの。」
最後だけ、いつもの恭弥に戻っちゃって残念だった。
今朝見た夢を語る彼女に雲雀は複雑な思いを抱きながら、
「君が僕の夢に来るときは、三択目を忘れないでね」
と彼女の耳元で囁いてやった。
(そのときは、迷わず)