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□I beg your pardon
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1ヶ月前から約束していたクロームとの約束を、破ってしまった。
メールで何度も謝ったが返信は来ず、仕方がないので彼女の好きなものをしこたま買い込んでから彼女に会いに行った。
自分だって、好きで約束の日に戦場でデッドオアアライブな戦いを繰り広げていたわけではない。
だが、彼女は相当怒っていた。
約束を守れない人なんて嫌い、口も聞きたくない。
そう言われたとき、スクアーロは下腹部に強烈なボディブロウを食らったような衝撃を覚えた。
(き、嫌われる……!!)
スクアーロは焦った。
なんとしてもそれだけは避けたい。
「き、機嫌直せぇ…」
普段の彼からは想像出来ないような小さな声で、無表情で雑誌を捲るクロームに話掛ける。
……返事はない。
失意のスクアーロは同僚のオカマが、「女はこう言えばオールオッケーよ♪」とかなんとか言っていたことを思い出した。
声とは裏腹に彼女には大きく出れないスクアーロには、口にすることがはばかられる台詞だが、背に腹は変えられない。
「あ、愛してるぜぇ…」
ぎこちなく、本当にぎこちなく紡がれたスクアーロの言葉に、クロームは…無言で新しいページを捲った。