book

□Do you believe fortune-telling?
1ページ/2ページ









いつも息を弾ませて応接室を訪ねてくる少女が、なんだか今日はしょんぼりして見えた。





「どうしたの」




彼女の好きな銘柄の紅茶に、風味を壊さない絶妙な量でミルクを加えることを雲雀が覚えたのは、つい最近。




カップを彼女の前に音を立てないようにゆっくりと置いた。



雲雀がここまで紳士になるのは、この少女の前でだけだ。




自身の「どうしたのか」という問いに彼女は答えてくれていないが、雲雀はちっとも怒ってはいない。


短気な彼はイラつくのも早ければ手を挙げるのも早い。しかし、クロームは例外だ。



彼女が話したくなるまで待つし、どんなに待たされても雲雀はそれを咎めたりしない。



彼女の微細な表情の変化を楽しむことが嬉しいとさえ感じている。



それに、雲雀が待つのは、彼女が必ず自分の質問の答えを伝えてくれるということがわかっているからだ。






「…恭弥は占いって信じる?」




(………ほら。)





 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ