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□A mysterious feeling
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トンファーを持ち出そうかどうか悩んだそのとき、くしゅんっ、と目の前の少女が肩を震わせた。
(…寒いんじゃないか。)
雲雀は溜め息を吐いてから、踵を返した。
公園の外まで行くと、ポケットにねじ込んであった携帯を引っ張り出し、耳に当てた。
「草壁。深緑に合いそうなコートと、白いマフラー用意しといて」
余りの一方的な要求に慌てふためく電話越しの声を、バタン、と遮った。
(…コートとマフラーなんか、用意したってどうしようもないじゃないか。)
彼女以上に不可解過ぎる自分の行動に、思わず漏れた溜め息の白さが、嫌に目に付いた。
(小さな嚔が妙に耳に残ったから、なんて)