君と過ごした3カ月

□第4週
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「田村先輩!今度あのお方が会計委員会にいらっしゃるって本当ですか!?」

「団蔵、まだひと月後だ。名無しさんちゃんの休みは少ないんだからな。」

「ぃやったあああ!
だから、言ったろ、左吉?
伊助や庄左ヱ門から噂聞いてたんです。楽しみ!」


彼女の噂はじわじわと広がっていた。

噂は独り歩きをして、

やれ鉢屋先輩をボコボコにする攻撃力だとか、
やれ尾浜先輩を脱がしただとか、
やれタカ丸さんも骨抜きだとか、


「あいつ、朝から夜までだからな。
下級生は会う機会が無いのだろ。」

「潮江先輩、僕もお迎えに付いて行っちゃダメですか?」

「朝も早いし夜も遅い。ひと月経てば会えるのだから待て。」


名無しさんちゃんの話をする先輩の顔は優しかった。


「潮江先輩、彼女はどんな方ですか?」

「バカで愚図なお人好しだ。まぁ、脱がしたり袋叩きにするような奴じゃない。」


きっと先輩はそんな言葉を名無しさんちゃんにも吐けるのだろう。


「あと、タカ丸さんは骨抜きじゃない。適度な距離を保ってお互い理解はし合ってる。
名無しさんちゃんにも迷惑かかるから、変な噂は訂正しとけよ。」


僕には、こんな付け足ししか出来なかった。
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